避妊手術のメリットとデメリット!受けるべき時期や手術の種類とは

避妊手術のメリットとデメリット!受けるべき時期や手術の種類とは

clinical dog examination by veterinary doctor with stethoscope

 
女の子のワンちゃんと暮らす飼い主さんは、避妊手術を受けさせるかどうかで悩むことも多いと思います。

避妊手術には健康面や愛犬の精神面でのメリットが多くありますが、同時に手術によるリスクなども発生するためしっかりと考えて選択しなければなりません。

そこで今回は、避妊手術のメリットとリスクや、避妊手術を行う時期や手順について紹介します。
愛犬との未来をしっかりと考え、納得のいく選択をしてくださいね。

 

避妊手術のメリット

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避妊手術には、妊娠出産を防ぐことはもちろん、病気の予防や発情期を抑える効果が期待できます。
まずは、避妊手術のメリットについて詳しく見ていきましょう。

 

望まない妊娠と出産を防ぐ

避妊手術の大きなメリットとして、予期せぬ妊娠、出産を防ぐことが挙げられます。

愛犬は室内飼育だから大丈夫と思っていても、思わぬところで妊娠にいたってしまうことも。
例えば、公園やドッグランなどで去勢手術をしていない男の子のワンちゃんに出会い、飼い主さんが気付かない内に妊娠してしまうケースもあります。

また、ワンちゃんによっては妊娠出産により健康に影響が出てしまうなど、体に大きな負担がかかります。
とくに超小型犬の出産や高齢出産などは非常にリスクが高いため、注意が必要です。

さらに望まない交配による妊娠で、生まれてくるパピーの貰い手がいないトラブルが起こる可能性も考えられます。

愛犬の体を守ることはもちろん、望まれずに生まれてくるワンちゃんを増やさないためにも、避妊手術について考える必要がありますね。

 

生理(ヒート)や問題行動がなくなる

女の子のワンちゃんは一般的に生後6ヵ月から10ヵ月の間に生理が始まります。

ワンちゃんの生理は発情期に伴い発生するもので、避妊手術を行っていないワンちゃんは、発情期が訪れると性ホルモンが多く分泌されます。

男の子のワンちゃんには発情期はなく、生理(ヒート)中の女の子のフェロモンによって発情します。
そのため、生理中の散歩や外出で男の子のワンちゃんを刺激してしまうことも。

さらに、人間と同じように生理中のワンちゃんはソワソワしたり気分が不安定になったり、食欲不振や頻尿などの体調不良が表れることもあります。
しかし、避妊手術を受け性ホルモンの分泌が抑えられれば、生理に起因する体調不良を防ぎ、気分も安定します。

また、避妊手術により生理がなくなるので、出血による汚れの心配やナプキンやサニタリーパンツなどを履かせる手間もなくなります。

 

病気を防ぐ

避妊手術を行うことで、ワンちゃんに起こりうる病気を予防することができます。
女の子が特に気をつけたい病気は、乳腺に腫瘍ができてしまう「乳腺腫瘍」。
悪性の場合は、命に危険が及ぶこともある病気です。

しかし初めての生理(ヒート)が来る前に避妊手術を行うと、病気の発症をかなりの高い確率で防ぐことができるため、生後半年ほどで避妊手術を受けるワンちゃんが多いようです。

また、出産経験のないシニアによく見られる「子宮蓄膿症」も避妊手術によって発症を予防できます。

 

避妊手術のリスク

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避妊手術にはメリットが多くあるため、あまり深く考えずに受けさせることを選択する飼い主さんもいるかもしれません。

しかし、もともと備わっていた臓器を取り去ってしまう大きな手術のため、残念ながらリスクを伴う可能性もあります。
ここでは、避妊手術のリスクについて見ていきましょう。

 

全身麻酔

避妊手術は臓器摘出手術のため、全身麻酔は避けられません。
全身麻酔の耐性には個体差があり、シニアや体力の落ちているワンちゃんには副作用が出てしまうことも考えられます。

 

性格や行動の変化

手術後、ホルモン分泌の変化により性格や行動に変化が出ることがあると言われています。
女の子は男の子に比べて変化は少ないと言われていますが、穏やかな性格に変わったり問題行動が減るなど、ポジティブな変化がある一方、まれに攻撃的になってしまうなどのネガティブな変化も起こるようです。

 

太りやすくなる

避妊手術を行うと代謝エネルギー量の減少によって太りやすくなることもデメリットに挙げられますね。
術前と同じ量の食事を与え続けると、肥満になり糖尿病や膀胱炎などの病気のリスクも上昇します。
そのため飼い主さんは、愛犬の食事量と運動量をしっかりと管理してあげましょう。

 

避妊手術の種類や時期

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避妊手術は、しっかりと計画を立てて受ける必要があります。
ここでは、避妊手術に適した時期と手順についてご紹介します。

 

避妊手術の時期

避妊手術は、体力のある若い内に済ませておきましょう。
前述した通り全身麻酔は体に負担がかかるものなので、シニアになってから避妊手術を行うのは望ましくありません。

また、適切なタイミングとされているのが生理(ヒート)を迎える前。
ワンちゃんの初めての生理はだいたい生後6ヵ月~10ヵ月頃になので、健康状態や成長に問題なければその前までに避妊手術を行うのがおすすめです。
ただし、6ヶ月でも体が麻酔に耐えられるほど成長していない場合もあるので、前もって獣医師さん手術のタイミングについて話しておくようにしましょう。

 

2つの術式の違い

避妊手術には卵巣のみ摘出する「卵巣摘出術」と、卵巣と子宮を摘出する「卵巣子宮全摘出術」の2通りの術式があります。

日本では子宮における腫瘍や嚢腫等の病気を予防することを目的に、後者の卵巣子宮全摘出術が一般的でしたが、欧米ではどちらの手術でもその後の病気の予防効果に大きな差がないという認識が広がってきています。

卵巣摘出術の方が開腹範囲が狭く、出血量や手術時間も少なく済むため、最近では国内でも飼い主さんの希望に沿って選べる動物病院もあるようです。
卵巣摘出術を検討する場合には、かかりつけの動物病院で手術が可能か、事前に確認してみましょう。

 

避妊手術の手順

避妊手術は開腹手術のため全身麻酔を使用するため、手術中の痛みや意識はありません。
開腹し卵巣もしくは卵巣と子宮を摘出した後、手術用の糸を使って縫合します。

手術前には、健康状態を確認し全身麻酔のリスクなどの術前検査を行います。
手術の開始時間にもよりますが、手術前日夜からもしくは当日は食事を摂ることができません。
また、病院によっては水を飲むことも禁止されている場合があるので、注意事項をしっかり確認しておきましょう。

手術後は、経過が良好であれば手術当日もしくは1~2日程度で退院でき、約1週間〜2週間で抜糸となります。
最近では時間の経過とともに体内に吸収される「吸収糸」を使用している動物病院も出てきており、その場合は抜糸が不要です。

 

避妊手術後の注意点

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避妊手術後は体力の消耗はもちろん、痛みや違和感が残るため、安静に過ごしてもらわなくてはいけません。
ここでは避妊手術後の注意点を確認していきましょう。

 

体力が回復するまで運動をさせない

避妊手術をした後、抜糸や術後の診察が終わるまでは運動は控えるようにしましょう。

無理に運動させてしまうと傷口が悪化し、治りが遅くなるおそれがあります。
毎日散歩をしているワンちゃんも、術後2~3日は家の中でゆっくり過ごすのが安全です。

外での散歩でしか排泄をしない場合は、獣医師さんと相談をして外に連れ出してあげましょう。
外に出る際は歩く時間を極力短くし、散歩というよりは排泄だけをさせてください。

愛犬の様子をしっかりと確認し、体力が回復したようであれば、普段通りに過ごしても大丈夫ですよ。

 

指示通りに薬を飲ませる

避妊手術後は薬が処方されるので、獣医師さんから説明されたとおりに投薬しましょう。

飼い主さんの勝手な判断で薬を飲ませるのを中止すると、傷口が化膿するなど治りが遅くなるおそれがあります。
また、薬の副作用で嘔吐や下痢などの症状が出る可能性も。
そのような症状が現れた場合は、すぐに病院に連絡してください。

 

傷口を舐めないように注意する

避妊手術後、体に違和感を感じたワンちゃんは傷口を舐めようとするでしょう。
デリケートな傷口を舐めると縫合している糸が切れてしまったり、ばい菌が入ってしまうこともあるので、注意しなくてはいけません。

しかし、抜糸をするまで約1週間〜2週間程度かかるため、エリザベスカラーや術後服などで傷口をカバーするようにしましょう。
エリザベスカラーは動きが制限されたり音が聞こえにくくなったりするので、ワンちゃんはかなりのストレスを感じます。
愛犬がエリザベスカラーに慣れるまでの間、飼い主さんは愛犬が不自由なく生活できるように支えてあげましょう。

 

まとめ

今回は、愛犬の避妊手術のメリットとリスク、避妊手術後の注意点などについてご紹介しました。

避妊手術には、望まない妊娠を防ぎ、ワンちゃんにとって危険な病気を防ぐなどたくさんのメリットがあります。
一方、体力や精神的な面で少なからずワンちゃんに負担をかけてしまうリスクも存在します。

避妊手術の必要性やメリット、リスクをしっかり把握して、ワンちゃんや飼い主さんにとって、より良い決断をするようにしましょう。

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