2022年6月より改正動物愛護管理法が施行され、新たに販売されるワンちゃん・ネコちゃんへのマイクロチップ装着が義務化されました。
すでに飼い主さんのもとで暮らすワンちゃん・ネコちゃんには装着が努力義務となり、悩んでいる飼い主さんも多いかもしれません。
そこで、今回は法改正前に行われたマイクロチップに関するアンケート調査をお伝えします。
調査結果を紹介する前にマイクロチップとは、どのようなものなのか紹介しましょう。
マイクロチップは、直径2ミリ、長さ12ミリ程度の円筒形をした電子標識器具で、ワンちゃんやネコちゃんの首の後ろの皮下に埋め込んで用いるものです。
飼い主さんの情報と照合できる15桁の番号が記録され、全国の動物保護センターや保健所、動物病院といった関係機関にある専用の読み取り機で、登録データを照会できるようになります。
飼い主さんの情報が登録されることにより、ワンちゃんネコちゃんの違法な放棄や遺棄を減らし、迷子や災害時に行方不明になってもお家に戻れる子が増えることが期待されます。
チップを体に埋め込むということに抵抗のある方もいるかもしれませんが、通常より少し太めの専用注射器を使い動物病院で装着できます。
挿入の際に痛みが生じることはありますが、装着後はとくに不自由なく生活できます。
費用は数千円~1万円程度が一般的です。
また、マイクロチップの安全性は非常に高いもので、副作用はほぼなく、一度装着すれば半永久的に使用できるとされています。
装着後はデータベースへの登録が求められ、これによって飼い主さんと離ればなれになってしまった場合でも、情報を参照して速やかに飼い主さんのもとへワンちゃん・ネコちゃんを戻せるものとなります。
まず、ワンちゃんネコちゃんに装着するマイクロチップを知っているかどうか尋ねました。
すると「よく知っている」は25.2%、「ある程度知っている」は最も多い48.7%に上りました。
一方で「聞いたことはある」が21.3%、「知らない」はわずか4.8%という結果に。
2019年に実施された調査の時と同様に、マイクロチップ自体の認知度は高い水準を保っています。
続いてグラフにはありませんが、6月の改正動物愛護管理法施行により、ワンちゃんやネコちゃんの販売業者やブリーダーには、マイクロチップの装着が義務として課せられることを知っているかを尋ねました。
すると全体では「はい」が56.5%、「いいえ」が43.5%で、認知している人が半数強、義務化を知らない人を13ポイント上回る結果に。
さらに回答者について詳しく見てみると、ワンちゃんの飼い主さんでは義務化を知っている人が58.3%、ネコちゃんの飼い主さんでは54.7%で、ややワンちゃんの飼い主さんの方が認知率が高いようです。
では、すでにワンちゃん・ネコちゃんと暮らしている一般の飼い主さんに対する努力義務の認知度はどうでしょうか。
飼い主さんにマイクロチップ装着の努力義務について尋ねると、「はい」は47.3%、「いいえ」が52.7%で、5.4ポイントとわずかながら、知っている人を知らない人が上回りました。
さらに回答者について詳しく見てみると、ワンちゃんの飼い主さんで認知している人が50.0%、ネコちゃんの飼い主さんでは44.7%でした。
こちらでもワンちゃんの飼い主さんの方が5.3ポイント上回り、知っている人と知らない人がちょうど半々になっています。
マイクロチップの装着が義務化されることについて、飼い主さんたちの気持ちはどうなのでしょうか。
賛否を尋ねたところ、「賛成」が27.0%、「どちらかというと賛成」が46.0%、「どちらかというと反対」が20.0%、「反対」は7.0%でした。
「賛成」と「どちらかというと賛成」を合わせた値は73.0%となり、2019年に比べ3.5ポイント上昇しています。
ワンちゃん、ネコちゃんの飼い主さん別では、ワンちゃんで「賛成」が30.7%、「どちらかというと賛成」が43.0%、ネコちゃんでは「賛成」が23.3%、「どちらかというと賛成」が49.0%で、ややワンちゃんの飼い主さんの方が賛成派の多い結果となっていました。
ただし、はっきり「反対」とした人はワンちゃんの飼い主さんで8.0%、ネコちゃんの飼い主さんで6.0%となり、賛成・反対ともワンちゃんの飼い主さんの方が明確に意見を持つ傾向もみられています。
賛成の意向を示した飼い主さんに、その理由を複数回答可で尋ねると、下記の回答が寄せられました。
「迷子になったときの身元確認が容易になる」
「動物愛護・飼育放棄の抑制につながる」
「災害や盗難時に身元証明ができる」
迷子になったときの身元確認の容易さが大きなメリットとして引き続き認識されていますが、直近の傾向では動物愛護意識の顕著な高まりも認められるようです。
では、反対する飼い主さんの理由も見ていきましょう。
こちらも複数回答可で尋ねた際、回答の多かった項目です。
「かわいそう」
「装着後のペットの状態が心配」
「費用がかかる」
「メリットを感じない」
「マイクロチップの耐久性が心配」
愛犬愛猫の負担や、安全性について疑問を感じる飼い主さんが多いことが分かります。
マイクロチップを認知している飼い主さんに、現在、一緒に暮らしているワンちゃん・ネコちゃんにマイクロチップを装着しているかどうか尋ねました。
すると「全頭装着している」が21.5%、「一部が装着している」は9.1%で、合計30.6%の飼い主さんには、少なくとも装着済みのワンちゃんかネコちゃんがいるという結果になりました。
2019年の前回調査時に比べると、4.1ポイント増加しています。
ワンちゃんとネコちゃんでは、ワンちゃんの飼い主さんで「全頭装着している」が30.4%、「一部が装着している」は7.6%となり、合計が38.0%、これに対し、ネコちゃんでは「全頭装着している」が12.4%、「一部が装着している」は10.6%で合計23.0%となりました。
ワンちゃんの方が、ネコちゃんよりもマイクロチップ装着が進んでいると分かります。
マイクロチップについて知ってはいるものの、まだ装着していないとした飼い主さんに、今後努力義務となることを受けた意向の有無を尋ねたところ、「装着したい」は10.1%となりました。
「検討中」が34.1%で、「装着する予定はない」が55.8%と過半を占めています。
まだまだ迷う飼い主さんも少なくなく、明確な装着意向を持っている方は少数派のようです。
今回は2022年6月より施行されたマイクロチップ装着義務化をめぐるアンケート結果を紹介しました。
マイクロチップそのものの認知度は上がってきた一方で、義務化や努力義務化についてはまだ知らない飼い主さんも少なくないこと、体に埋め込む不安感がある一方で、動物愛護の観点から前向きに捉える向きも強くなっていることなど、愛犬愛猫を大切に思うからこその揺れる思いも含め最新の動向が見える結果となりました。
マイクロチップについては高い安全性が確認されており、ワンちゃん・ネコちゃんと安心・安全に共生していくために寄与する大きな意義が認められています。
心配な方はぜひかかりつけの動物病院などに相談の上、検討してみてください。
参考リンク
PRTIMES
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