新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、私たちの生活を大きく変えるものとなりました。
新規感染が落ち着いてきていても変異株の登場や、ブレイクスルー感染の発生など、今もなお感染リスクと隣り合わせの暮らしが世界中で続いています。
そんな中、愛犬と暮らす飼い主さんにとっては「もし自分が感染してしまったら、愛犬はどうしたらいいの?」「隔離先に連れて行けないのであれば、この子のお世話は誰がしてくれる?」なんて不安がありますよね。
そこで、皆さんがそうした不安や疑問とどう向き合っているのかを調べるため、10代~60代のワンちゃんと一緒に暮らす飼い主さん500人を対象に、アンケート調査が実施されました。
興味深い調査結果が公開されたので、今回はその内容を詳しく紹介します。
まず、新型コロナの感染経験について全員に尋ねたところ、「感染したことはない」が94.4%で大半を占めました。
しかし「実際に感染したことがある」人も2.0%存在し、「感染したかもしれないが検査はしていない」という人は3.6%でした。
2021年11月6日時点の日本国内における新型コロナ陽性者数は、累計で172万3,799人にのぼり、日本の人口である1億2,530万人に対する割合は約1.38%と計算されているので、今回の2.0%という結果も十分に考えられる数字といえるでしょう。
続いて、新型コロナに感染した場合、愛犬のお世話をどうするか考えているかどうか尋ねたところ、「考えている」人が66.6%、「考えていない」人が33.4%でした。
およそ3人に2人は万が一に備えて「考えている」状況ですが、日々感染についての危険性や対策のニュースが流れる中、まだ自分事として捉えきれていない飼い主さんも少なくないことが分かります。
私たち飼い主は、大切な家族としてパートナーとして、かけがえのない命を預かっています。
だからこそ自身が感染して入院したり、隔離生活を送ることになったりした場合に、愛犬のお世話をどうするか考えておくことも必要でしょう。
では感染した場合に愛犬のお世話をどうするか、感染経験のない490人を対象に考えを答えてもらいました。
すると「家族に頼む」という人が圧倒的に多い62.2%で、最多回答となりました。
やはり親族ならば頼りやすく、かつ大事な愛犬のお世話もきちんとしてくれそう、安心感があるといった意識が働いているようです。
これに次ぐ2位は「自宅療養にして自分でお世話をする」の10.2%、3位は「ペットホテルに預ける」の8.4%でした。
「療養中でも自分でお世話できるだろう」と考える飼い主さんも多いのかもしれませんが、症状が急激に悪化することもあるため、一人では乗り切れないことも想定しておきたいですね。
またペットホテルが受け入れてくれるか、すぐ連絡できる先があるかというところも気にかかるところです。
4番目以降は「知人や友人に頼む」、「動物病院に預ける」といった回答が続きますが、「考えていない」という人は6.3%まで減少、先の問いでこれまで考えていなかった飼い主さんも、多くがこれを機にどうすれば良いか考え、具体的な回答を選んだものとみられました。
実際に新型コロナに感染した経験があるとした回答者10人に、愛犬のお世話はどうしたか、その状況を尋ねたところ、やはり「家族に頼んだ」が3人で最多となりました。
一方で「自宅療養にして自分でお世話をした」人も2人いるという結果に。
「知人や友人に頼んだ」、「動物病院に預けた」も2人で並び、実際に家族にお願いできた飼い主さんは限定的であるようです。
家族と同居している場合、その家族も感染し入院や宿泊施設療養となる可能性もあることに加え、やや離れて暮らしている場合には、自身が感染したことで頼みにくい、県を越えての移動が自粛されるなどの事情があったのではないかと推測されます。
いざ感染してしまうとなかなか頼る先がなく、やむを得ず自宅療養で自分がお世話をする選択をしたといったケースは、広くみられたのではないでしょうか。
続いて、犬種や頭数による傾向を見ていきましょう。
超小型犬や小型犬の場合、比較的家族や知人・友人に頼みやすい一方、中型犬などになると頼みにくい、自身がお世話できないなら、ペットホテルや動物病院を探すほかないといった傾向がみられました。
また、3頭以上を飼育している2名の飼い主さんはどちらも、「動物病院に預けた」と回答しています。
命あるワンちゃんのお世話ですから、やはり3頭以上ともなればなかなか普通の人には頼りにくく、体調不良などにも対処してくれて安心な動物病院、専門家のもとで預かってもらうという選択肢になるようです。
実際に新型コロナに感染した周囲の愛犬家さんについて、お世話をどうしていたか、知っている状況を答えてもらった結果では、「自分でお世話をしていた」が最も多く、以下「家族に頼んでいた」、「友人に預けていた」、「ペットホテルに預けていた」などと続きました。
中には「一緒に療養できる宿泊施設を探していた」という声も寄せられていますが、これは東京都でペット同伴者用の宿泊療養施設が用意されたことを受けたものとみられます。
しかし、こうした宿泊療養施設の数は非常に少なく、用意されていない自治体がほとんどのため、それ以外の方法を考えておく必要があるでしょう。
一方で、新型コロナに感染してしまった愛犬家さんのため、ボランティアによる一時預かりやお散歩の代行など、動物愛護団体をはじめとする有志の団体がサポートを提供しているケースもあるので、そうした情報を調べておくのも良さそうです。
飼い主さん本人の感染以外に、愛犬の感染が心配という方もいるでしょう。
周囲でワンちゃんが新型コロナに感染したと聞いたことがあるかどうか尋ねた結果では、「聞いたことはない」人が96.2%と大半を占めたものの、「聞いたことがある」とした人も3.8%にみられました。
日本国内ではさほどニュースとして取り上げられていませんが、海外の研究調査では、飼い主さんからワンちゃんに感染した事例の報告や、その陽性率が約4割にものぼるといった報告もなされています。
仮に感染したとしても、ワンちゃんの場合には目立った症状はなく、人にうつすこともないとされていますが、やはりまずは飼い主さんがしっかり感染予防をして、自身とともに愛犬の身も守ってあげたいですね。
最後に、コロナ禍での愛犬との生活でどんなことに困ったか尋ねたところ、動物病院を気軽に利用できなくなったり、利用制限で受診しづらくなったりしたことや、散歩コースや時間帯の変更、回数の減少、散歩中のコミュニケーション自粛、ドッグランやドッグカフェの閉鎖など、日常行動にかかるさまざまな制限が多数挙げられました。
また、こうした行動制限による愛犬のストレス増や、人の在宅時間が増えたことで負担になっているのではなど、ワンちゃんへの影響を心配する声も目立ちました。
新型コロナの感染拡大は、人間だけでなく、ワンちゃんの生活にも多大な変化をもたらしています。
いざという時の備えから、普段の心身体調管理まで、しっかりと気を配ってあげたいですね。
参考リンク
INUNAVI
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