愛犬愛猫などのペットとできるだけ時間を共有したいと考える飼い主さんは多いでしょう。
しかし、現代に暮らす私たちにとっては、なかなかそうもいかない事情があるものです。
仕事で長時間家を空けたり、出張や親族の冠婚葬祭などによる外泊、また飼い主さんが入院しなくてはならないなど、さまざまな理由でペットと離れなくてはいけないことが想定されます。
近くに頼れる友人や家族がいれば安心ですが、そうでない場合にはペットホテルの利用を検討するでしょう。
しかしネコちゃんなどは慣れない場所にストレスを感じやすいため、ホテルに預けるのは現実的ではないと考える飼い主さんも多いようです。
そういった場合に注目されているのがペットシッターです。
ペットシッターとは人間の赤ちゃんをみるベビーシッターと同様に、愛犬・愛猫たちの一時預かりや、必要なケアを施すことに対応してくれるプロフェッショナルのこと。
今回はこのペットシッターサービスに関する世界の市場規模調査を基に、最新の動向を紹介します。
Report Oceanが2021年10月14日に発行したレポートによると、世界のペットシッター市場は2021年から2027年の予測期間において、8.7%以上の成長率でその規模を拡大させていくと予想されています。
日本ではあまりメジャーではありませんが海外での利用は拡がっており、世界のペットシッター市場は、2020年に約28億3,000万ドルまで到達しました。
ここから年平均8.7%以上という顕著な成長率で推移するとの予測になったため、2027年までには50億7,000万ドルへ達すると見込まれています。
50億ドルを超える市場規模となれば、ひとつのサービス市場としてかなりの存在感を放つものとなるでしょう。
ペットシッター市場の成長背景には、ワンちゃんやネコちゃんなどを新たな家族として迎えるケースが世界的に増えていることに加え、直近では新型コロナウイルス感染症のパンデミック発生により抑制傾向が強くなっているものの、全体としてはレジャー旅行者が増加、人々のグローバルな動きが活発化していることも挙げられています。
また、より健康で長く幸せに暮らしてほしいと願い、彼らの福祉にかかる支出を増やす愛犬・愛猫家らが多くなっていることもペットシッターへの需要を増加させ、市場を成長させる要因として働いていると指摘されました。
ペットシッターによっては、病気や怪我、シニア犬の介護などに対応しているサービスもあり、適切なケアを期待する飼い主さんの需要もあるようです。
適切なケアに関する科学的な知見の深まりや、そういった情報を私たちも手軽に調べられるようになったこと、さらには、動物の福祉という考え方の広まりが影響し、成長が見込まれています。
ペットシッター市場の地域別分析では、やはり北米地域が圧倒的シェアを誇ります。
愛犬愛猫の体全体をお手入れするグルーミングの意識の向上や、新しくペットを家族に迎える人が引き続き増加していることなどが、高いシェアを維持するもととなっているようです。
同地域の主要国家であるアメリカでは、2020年8月のPet Food Processingレポートで、少なくとも1匹以上の愛犬・愛猫などと暮らしている世帯数は、8月時点の6,800万世帯から年末までに、7,100万世帯にまで増加すると推定されていました。
また家族の一員として、彼らにかけるお金の金額もますます増える傾向にあり、米国ペット製品協会の発表によると、その総額は2019年の957億ドルから2020年には1,036億ドルへと増加、2021年には1,096億ドルに達する見込みとなっています。
こうした中で、手間を軽減、時間を節約できるペットケアサービスへの需要も高まっているといい、ペットシッターの利用も増加しているようです。
さらに一部の飼い主さんの間では、一定の期間、自宅へ泊まってもらい、ペットのケアや庭の手入れ、植物への水やりなどを行ってもらうシリアルハウスシッターサービスの人気が増しており、この動向も今後数年間、市場成長を支える需要の押し上げ要因になると予測されました。
一方、市場成長を鈍化させる可能性がある懸念点としては、あまりにもケアコストが増大していること、愛犬・愛猫などと暮らすことが非常にお金のかかることとなってしまうことが挙げられています。
愛情だけでは解決されないお金の問題は、日本の愛犬・愛猫家らにとっても頭の痛いところでもあるでしょう。
新たな市場成長地域としては、アジア太平洋地域が注目されています。
活発な経済成長を続ける国や地域を多く含むこの地域では、人々の可処分所得が増加するに伴って、ワンちゃんやネコちゃんなど、新しい家族となるパートナーを迎える家庭が増えています。
とくにインドネシアや中国、インドなどでそうした傾向がみられ、これら地域では、今後さらに多様なペットサービス、ケアへの需要が増加すると見込まれるためペットシッターも普及し、2021年から2027年の期間では、最も高い市場成長率を示す地域になることが予測されました。
日本ではセキュリティやプライバシーの面で不安感を抱く人も少なくないため、北米のようにシリアルハウスシッターなどは受け入れにくい傾向がありますが、ペットシッターへの需要は確実にあると考えられます。
いつもそばにいて愛情を注ぎ、必要なお世話をしてあげるのが理想であることはもちろんですが、オーナーさんである人も、愛犬・愛猫たちも、無理なく快適に、持続可能なかたちで共に豊かな暮らしを実現していくためには、それぞれの事情に合わせたサポートも欠かせません。
ペットシッターのようなサポートサービスとも上手に付き合い、互いにとって幸せな、質の高い生活を実現させていきたいですね。
参考リンク
PRTIMES
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