ワンちゃんも人間と同じようにケガを負ったり病気になることがありますが、痛みを隠してしまう傾向があります。
そのため、飼い主さんがワンちゃんの様子や仕草から異変に気付いてあげなくてはいけません。
そこで今回は、ワンちゃんが傷みを感じている時に発するサインや、それに対して飼い主さんができることについて見ていきましょう。
ワンちゃんはオオカミをルーツにもつ動物。
厳しい自然や食物連鎖の中で生きる野生動物にとって、ケガや病気を敵に察知されてしまうと、命を危険にさらしてしまうことになりかねません。
そのため、本能で痛みや異変を隠そうとしてしまうのです。
そういった野生動物の防御本能が、ワンちゃんにも残っていると考えられています。
しかしワンちゃんそれぞれで性格が異なるため、すべての子が当てはまるわけではありません。
ですが、自尊心や警戒心の高い子や、飼い主さんとの信頼関係がうまく構築できていない場合に、その傾向が強くなるとされています。
また、飼い主さんへの思いが強すぎてしまい、「心配させたくない」と思うワンちゃんもいるかもしれません。
一方で、構ってほしいタイプのワンちゃんの中には、痛みや異変を感じていることを飼い主さんに伝えようとする子も。
愛犬がどのようなタイプかを把握した上で、異変に気付けるようにしてあげたいですね。
一般的に痛みは、急性痛と慢性痛に分けられ、それぞれ原因や見られる症状が異なります。
愛犬の異変をいち早く察知するためにも、どのような症状が見られるかを知っておきましょう。
急性痛とは、骨折や捻挫などの組織の損傷や虫垂炎などのように、一過性かつ局所的ではっきりとした原因により生じる痛みのこと。
原因となるケガや病気を治療することで、痛みも落ち着きます。
急性痛はイライラして落ち着きがない様子を伴うため、普段の様子と違ったり炎症や傷が外見に現れたりするため、飼い主さんは気付きやすいでしょう。
呼吸が普段より早い
触ろうとすると嫌がる
怒りっぽい
普段と姿勢が異なる
食欲がなくなっている
足をかばい、引きずって歩く
一方で慢性痛は、原因が分かりにくく、長期的に続く痛みのこと。
関節や筋肉、じん帯などの損傷や、脊髄や神経など見えない部分で発症することが多いです。
また、原因を治療しても傷みが続き、その期間は数週間から数ヶ月に及ぶとされています。
慢性痛は炎症や傷が目に見えないため、愛犬の異変に気付かずに悪化させてしまうケースもあるようです。
散歩を嫌がる
段差を避けたがる
立つのに時間がかかる
おとなしく、寝ている時間が多い
しっぽが下がりがちになった
歩き方が不自然になった
ここでは痛みを我慢しているワンちゃんにできるだけ早く気付くことができるよう、痛みのヒントとなる仕草や症状を体の部位別に解説します。
普段から愛犬の様子を観察し、異変に気付けるようにしましょう。
ワンちゃんの多くが裸足で散歩しているため、足を怪我してしまうことは多いようです。
また、爪が伸びていたりフローリングで生活していると、滑りやすく関節の負担になることも。
さらにはアレルギーなどによる痒みの症状が出やすい部位でもあります。
足をかんだり、舐めたりする
痛い方の足をあげたまま歩く
体に触れようとすると怒る
鳴きわめく
動こうとせず、段差を避ける
動きが遅い
飼い主さんがワンちゃんの前肢と後肢を曲げてみた時に、嫌がったり痛がったりするようであれば関節に異常があるサインです。
週に一度はボディチェックしてみましょう。
お腹の痛みを抱えていても、ワンちゃん自身もどこが痛いのか判別しにくいため、明確にお腹を気にするような様子は見られません。
以下のような様子が見られるようであれば、お腹の痛みも視野に入れる必要があります。
食欲が減る
背中を丸めた姿勢をとる
鳴き声が違う
触られるのを嫌がる
ウロウロと移動を続ける
普段と違う体勢をとる
膵炎を発症した場合には、お尻を突き上げて前肢を伸ばし胸を床につける「お祈りポーズ」をする傾向があるため、比較的発見しやすいでしょう。
口内に腫れものができたり虫歯になってしまうと、その痛みによって食欲や食事のペースに影響が出やすいとされています。
歯や歯茎の色がおかしい
口臭が強い
口からごはんをこぼす
よだれが多い
片方の歯で食べる
食欲が減る
食事のスピードが遅くなる
顔を床やカーペットなどに擦り付ける
口内の痛みが激しくなると一気に食欲が低下し、大好きなおやつさえ食べなくなります。
目に痛みや違和感を抱えている際は、飼い主さんも気付きやすい様子が比較的見られやすいです。
瞬きを繰り返す
涙が増える
目を開けようとしない
目をこする
充血している
目やにが出る
顔を床やカーペットなどに擦り付ける
目を開けようとしない場合には無理にこじ開けず、動物病院に相談しましょう。
ケガをしている場合、放っておくとワンちゃんが患部を舐めたり噛んだりして悪化してしまうこともあります。
ワンちゃんが痛みを抱えていることに気付いたら、早期に対応してあげましょう。
痛みの発生から受診までの時間が短いほど回復は早くなるため、気が付いたら即座に動物病院へ行きましょう。
痛みの原因が分からない、あるいは緊急性が高いと感じたら、事前に病院へ連絡するのがおすすめです。
応急処置の方法が聞けるほか、予め伝えておくことで病院に到着してからもスピーディーな対処を期待できます。
また、受診前にワンちゃんのしぐさや様子を動画撮影しておくのも良いでしょう。
慣れない病院で緊張してしまい症状を見せない場合でも、診察がスムーズになります。
痛がるワンちゃんの様子を見ているのが辛いからといって、人間用の鎮痛剤を飲ませてはいけません。
たとえ少量であっても重大な副作用を引き起こし、命にかかわる可能性があります。
必ず動物病院を受診し、獣医師さんが処方した薬を与えるようにしてください。
動物病院にかかった後に自宅で様子を見る場合には、静かで落ち着ける環境を作りましょう。
まずは体を休められる寝床を準備しましょう。
とくにワンちゃんが寝たり休んだりする時間が長い場合には欠かせません。
しっかりとした厚みのあるペット用ベッドは適度な弾力があるため、腰や関節にかかる負担を軽減する効果が期待できます。
ベッドがない場合には、厚みのある布団や座布団に柔らかい毛布を掛けてあげましょう。
また、関節や背骨に負担をかけたくない時は、フローリングにカーペットを敷きましょう。
加えてソファやベッドにはワンちゃん用のステップを設置し、体に大きな負荷をかけるジャンプをさせないようにしましょう。
そして部屋全体はワンちゃんが寒いと感じない程度に保温する必要もあります。
冷えは血行不良を招き、体や関節の痛みを強くします。
冷えで痛みが強くなるとワンちゃんは動かなくなり、さらに冷えるという悪循環に陥るため、冬場であれば電気カーペットやマッサージなどで血行を良くしてあげましょう。
ワンちゃんが発する痛みの仕草や行動、自宅における対処法をお伝えしました。
普段から様子を注意深く観察し、飼い主さんが愛犬の辛い状況を素早く察知する参考にしてくださいね。
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