私たちは年齢を重ねたり、無理な運動や動作で関節を痛めてしまうことがありますよね。
ワンちゃんも同じように、さまざまな理由から関節を痛めるリスクにさらされています。
いつも楽しみにしている散歩に行きたがらなくなった、段差を嫌がるようになった、なんてことはありませんか?
また、歩いていても足元がおぼつかず、心配になってしまう飼い主さんもいるでしょう。
こういった様子が見られる場合、単なる怪我や体調不良だけでなく、関節疾患を起こしている可能性も考えられます。
気づかないうちに愛犬が関節を痛めてしまわないよう、ワンちゃんの関節のトラブルについて、対処法や予防法を紹介します。
ワンちゃんが関節疾患にかかってしまった場合、どのような症状があらわれるのでしょうか?
ワンちゃんは人よりも痛みに強く、少しくらいの痛みなら気づかなかったり、また我慢してしまうこともあります。
そのため注意深くワンちゃんを観察して、愛犬に関節疾患の疑いがあるのかどうかチェックしてみましょう。
下記のような症状があれば、要注意です。
・立ち上がる時にヨタヨタして辛そうにしている
・階段や段差の上り下りを嫌がる
・散歩中に座り込む
・抱っこをすると急にキャンキャンと鳴く
・足を引きずっている
・洋服の脱ぎ着や足を洗う時に痛がる
高齢になると歩く時にヨタついたり、散歩中に疲れて座り込むといった様子が見られます。
しかし年齢のせいと楽観視せず、愛犬の関節疾患の可能性も含め、動物病院への相談をおすすめします。
ワンちゃんがかかる関節疾患には、どのような種類があるのでしょうか。
主な症例をいくつか挙げてみましょう。
愛犬におかしな動きがある時は早めに動物病院を受診して、関節疾患の詳しい診断をしてもらいましょう。
股関節形成不全とは、体と後ろ足をつなぐ最も重要な股関節部分にゆるみと変形が生じる疾患です。
股関節寛骨臼の発育不全や変形、大腿骨頭の変形、扁平化などによって股関節がゆるんでしまうことで発症します。
発症してしまうと傷みがひどく、自分自身の体重を支えられなくなり、歩けなくなってしまいます。
とくにラブラドール・レトリーバーやゴールデン・レトリーバー、バーニーズ・マウンテン・ドッグなどの大型犬がかかりやすいと言われています。
椎間板とは柔らかいゲル状の組織で、歩く時の運動の衝撃を和らげるクッションのような役割を担っています。
この椎間板がなんらかの原因によって飛び出してしまい、神経に触り炎症や痛みを発症することを椎間板ヘルニアといいます。
脊髄や神経根が圧迫されると強い痛みを生じ、運動障害を引き起こすことも。
胴が長いダックスフンドがかかりやすい疾患として知られていますが、フレンチ・ブルドッグ、ビーグルなどにも見られます。
膝蓋骨とは「膝のお皿」といわれている部分で、膝を伸ばしたり曲げたりする際、靭帯をスムーズに動くようにする滑車のような役割を持つ骨です。
そのため膝蓋骨脱臼してしまうと、膝の曲げ伸ばしができなくなり膝関節に機能障害を起こします。
小型犬は先天的に膝蓋骨がはずれやすく、ポメラニアンやチワワ、トイ・プードルなどの小型犬が発症しやすいため注意が必要です。
高齢のワンちゃんの場合、変形性脊椎症という疾患にかかる可能性も考えられます。
加齢により椎間板に対する栄養循環の減少や、脊椎に対する持続的な負担などが原因とされ、慢性的な痛みや、歩行困難などを引き起こします。
もし愛犬が関節疾患を患ってしまった場合、どのような治療があるのか気になるところですよね。
しかし一度変形してしまった軟骨の損傷は修復できないため、対処療法で状態の改善をはかっていくことになります。
では、どのような対処法が有効かを見ていきましょう。
適度な運動を行うことは関節を支える筋肉を強化につながり、関節の可動性が改善されます。
継続的に続けることで、動作が鈍くなっていたワンちゃんが再び活動的になることも。
ただし、無理は禁物。
日常的な散歩や水泳など、関節への負荷が少ない運動が効果的です。
ワンちゃんの状態によっては、かかりつけの獣医師さんに適切な運動の方法や量を相談してみてくださいね。
もしワンちゃんが痛みを感じているような場合は、おさまるまで運動療法も休ませるなど様子を見ながら進めましょう。
ワンちゃんが痛みで辛そうな時は、かかりつけの動物病院で消炎鎮痛剤を処方してもらうなどの内科療法もあります。
消炎鎮痛剤の内服することで、炎症と痛みが抑えられるだけでなく、関節の損傷の進行を防ぐことにもつながるので、悪化が見られる場合には受診するようにしましょう。
病院によっては薬だけでなく、グルコサミンやコンドロイチンなどのサプリメントを紹介するところもあるようです。
症状がひどい場合には、上記で紹介した方法でも回復が難しいこともあります。
その場合には手術などの外科療法も視野に入れ、かかりつけの獣医師さんに相談してみてくださいね。
関節疾患にかかってしまうと慢性的に痛みを感じるため、活動量が低下する傾向が見られます。
それにより体重が増加すると、さらに関節に負荷がかかりますます動けなくなってしまう悪循環に陥ることも。
肥満にならないよう低カロリーの食事療法などで、体重を管理することが大事です。
関節疾患は痛みを伴うことが多いため、お散歩に行けなくなるなど日常生活に支障をきたしてしまうことも。
愛犬の楽しみを減らすことは、できるだけ避けてあげたいものですよね。
ここでは関節疾患にならないように、飼い主さんができる日々の予防法を紹介します。
毎日の積み重ねが大切ですので、無理のない範囲で着実に実行していきましょう。
ワンちゃんの体重管理は飼い主さんにかかっていると言っても過言ではありません。
日頃からごはんやおやつを与えすぎないよう気をつけましょう。
体重の増加は関節に負担をかけるので、適正体重を保つことが関節疾患の予防になります。
フローリングや畳などの滑りやすい環境での生活はできるだけ避けましょう。
足が滑ってしまうと関節に負荷がかかってしまいます。
タイルマットやカーペットを敷いたり、滑り止めのワックスを塗るなど工夫してあげましょう。
また、階段やソファ、ベッドなど高さのある場所から飛び降りる行為にも注意が必要です。
着地した際に腰にかかる負荷が大きく、痛める原因となりかねません。
できるだけ登らないようにしつけるのはもちろん、ワンちゃん用のスロープや高低差の少ないステップを取り入れて負荷を減らしてあげましょう。
日常的にできる運動を続けることも大切です。
散歩はできるだけ毎日行い、愛犬の関節周りの筋肉を鍛えましょう。
筋肉を鍛えることは、関節への衝撃や脱臼の防止に役立ちます。
また、アスファルトなどの硬い地面よりも、クッション性の高い土の方が関節への負荷が少ないです。
さらに平面だけでなく坂道歩行なども取り入れて、筋肉を強化することが予防につながりますよ。
今回はワンちゃんの関節疾患についてお伝えしました。
高齢になるほど足腰が弱りさまざまな不調をきたす場合もあれば、若いワンちゃんでも肥満などが原因で徐々に関節を痛めることもあります。
飼い主さんが愛犬からの少しのサインを見逃さないことが、いちばんの予防になるでしょう。
大切な愛犬には、いつまでも元気で若々しい毎日を過ごしてほしいですね。
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