ワンちゃんが健康的に生きていくためには様々な栄養が必要ですが、その中のひとつに“ビタミン”が挙げられます。
健康のためにとビタミンを含むサプリメントを与えている飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、ビタミンの中でも骨や関節の形成に大きく関わるビタミンDについて詳しく見ていきましょう。
ビタミンDを摂り過ぎたり不足したりしたらどうなってしまうのか、適切な摂取量、摂取する方法についても紹介します。
ビタミンDはカルシウム・リンを体内に吸収するために欠かせない栄養素のひとつ。
小腸や腎臓でミネラルの吸収を促進し、血中内のカルシウム濃度を保つ役割を担っているため、骨や関節の形成に必要とされています。
ビタミンは脂溶性と水溶性の2種類あり、ビタミンDは脂溶性に分類されます。
脂溶性ビタミンは、脂(油)に溶けやすく、熱にも強いという性質を持ち、体内の脂肪に蓄積されるのが特徴です。
詳しくは後述しますが、ビタミンDは食べ物で摂取する以外にも、紫外線を浴びることで体内で生成することが可能です。
ビタミンDが欠乏すると、骨粗しょう症やくる病、腎障害などを引き起こす可能性があります。
くる病は骨が伸びなくなり神経症状を引き起こす病気で、関節付近の骨が膨らみ長い部分の骨が曲がってしまうことも。
成長が早いワンちゃんほど、発症が早い傾向があると言われています。
愛犬の手首や足首のあたりの骨が膨らんでいる場合には、動物病院への相談をおすすめします。
また、ビタミンDの不足により、パピーが骨軟骨炎や発作を起こしたという事例もあります。
上下の顎が柔らかくなり、ご飯を自力で食べることが難しくなることもあるため、早い段階で気づいてあげることが大切です。
ビタミンDは総合栄養食のドッグフードを主食としていればあまり不足することはない栄養素ですが、あまり食事を摂ることができないワンちゃんの場合には、とくに注意が必要です。
不足した場合のリスクを知り、「ビタミンDをしっかり摂取させなくては」と思った飼い主さんも多いでしょう。
しかし、過剰摂取し過ぎるのもまた、リスクがあるのです。
ワンちゃんがビタミンDを過剰摂取してしまうと、骨代謝や、骨化が難しくなり、骨の石灰化が起きてしまう可能性があります。
過剰摂取による悪い影響は、パピーに顕著に表れやすい傾向があります。
さらに、高カルシウム血症、高リン酸血症、動脈硬化、頻尿や血便など、様々な病気を引き起こす原因になると言われています。
ワンちゃんの栄養基準は、NRCによる栄養基準と、AAFCOやFEDIAFの品質基準で異なります。
「NRC飼養標準」とは、日本だけではなく、世界のワンちゃんやネコちゃんの栄養研究をまとめて作成された基準値です。
一方、「AAFCO」や「FEDIAF」は、市販ペットフードの品質基準を指します。
ビタミンDの摂取目安量において、NRC飼養標準では、ワンちゃんのビタミンDの欠乏症や過剰症の研究や実際にあった症例をもとに、基準を設定しています。
推奨摂取量は、3.4 µg/1,000 kcalで、安全上限は20 µg/1,000 kcal。
AAFCO養分基準では、µgの単位で表すと、3.125 µg/1,000 kcal~18.75 µg/1,000 kcalとされています。
ちなみに「µg(マイクログラム)」という単位は見慣れない単位ですよね。
1µg(マイクログラム)は100万分の1gになります。
ここまでビタミンD摂取のリスクについて紹介しました。
では、不足・過剰にならないようにするにはどうしたらいいのでしょうか。
ビタミンDは市販されている総合栄養食のドッグフードに配合されています。
他の栄養素とバランスよく必要量が含まれているので、基本的にはドッグフードを主食としていれば不足・過剰になることはほぼありません。
ですが、もちろんおやつやトッピングを与えることもありますよね。
ビタミンDはサーモンやイワシなど脂の多い魚介類や、きのこ類に多く含まれています。
また、熱に強いため加熱調理してもビタミンDが損失することはありません。
そのため、トッピングやおやつでビタミンDの多い食材を取り入れる際は、過剰摂取にならないよう量を調整しましょう。
毛で覆われているため人間ほどではありませんが、ワンちゃんも紫外線を浴び、体内でビタミンDを生成することができます。
シニアになり散歩をする時間が短くなったり、室内で過ごすことも多くなると、ビタミンDが不足し骨折をしたり足腰が弱くなることもあります。
また、散歩が苦手というワンちゃんもいますよね。
そういった子の場合は、気温に注意しながら室内や庭などで日光浴をする時間を十分に作ってあげましょう。
ビタミンDに限らず、栄養素はバランスよく摂取することがとても重要です。
「体にいいから」と安易にサプリメントを与えたり、偏った食事をさせてしまうとバランスが崩れ体に悪影響を及ぼすことも。
ビタミンDは総合栄養食を主食とし、散歩などで日光を浴びることで十分な量を摂ることができます。
不足が心配な場合は、まずかかりつけの動物病院に相談してみてくださいね。
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