ワンちゃんもシニア期に入ると、眠る時間がこれまでより長くなる子が多いもの。
そのため、運動不足となって食欲が減ったり、歯が弱くなることで固形物が食べにくくなる傾向があります。
また、筋肉量が低下することで嚥下が困難になり、思うようにごはんが食べられなくなるという子もいるでしょう。
そんな時、シニア用のごはんとして取り入れたいものが流動食です。
本記事では、流動食の作り方や、食べさせる際のポイントなどを紹介します。
生き物にとって、「食べる」ということは生きていく上でもっとも大切な行為のひとつです。
体の弱ったシニアのワンちゃんは、生きるために不可欠な栄養素を体内に取り入れるために、流動食が必要になることがあるでしょう。
では、愛犬がどのような状態となった時に流動食を考えるべきなのでしょうか?
具体的な状態を確認をしていきましょう。
シニア犬になると、味覚や嗅覚が衰えることがあります。
また、日常的に薬を飲んでいるワンちゃんは、薬の影響で味覚・嗅覚が低下してしまう場合も。
ワンちゃんは、どんな食べ物なのかを嗅覚によって嗅ぎ分けています。
そのため、嗅覚が衰えると食への興味が減ってしまうのです。
食への興味が減ると、「食べる」という行為が二の次となってしまいます。
そんな時に、流動食へ移行すると、これまでと食事形態が変わるため、愛犬・飼い主さん共に食へのストレスが減る可能性があります。
ワンちゃんは、シニアになると唾液の分泌量が減る、顎の力が弱くなるということがあります。
これは、固形物を噛んで食べることが困難になることに繋がります。
また、飲み込む時に咳込んでしまう、ひどい時には嘔吐することもあるでしょう。
こうなると誤嚥の危険性があるため、早めに流動食に変更することが推奨されます。
シニアのワンちゃんでなくても、口の中に歯周病や虫歯などがあったり、口腔内腫瘍などの病気がある場合は、痛みや違和感から口の中に固形物を入れるのを嫌がることがあります。
そのような時にも食事を流動食にすると、食べてくれることがあります。
ワンちゃんもシニア期になると消化機能が低下して、若い頃のような量のごはんが食べられない、固形物を消化しにくいということが発生します。
そのような場合、流動食なら食べることができる可能性があるので、是非一度試してみましょう。
また腎臓や肝臓などの内臓の機能が低下して食欲がなくなったワンちゃんにも、流動食はおすすめです。
では、シニアのワンちゃんに適した流動食とは、具体的にどうのようなごはんなのでしょうか。
実は簡単に手作りできるものがほとんど!
ぜひチャレンジしてみましょう。
今まで食べていたドライフードやウエットフードをアレンジすると、簡単に流動食を作ることができます。
この時注意するべき点は、年齢に適したフードを使用するということ!
成犬用のフードはシニア犬にとって高カロリーであるため、シニア用の低カロリーのフードを使用するのがおすすめです。
フードをぬるま湯か水でふやかしてから、さらに水分を足してミキサーやミルにかけると手早く流動食にすることができます。
ふやかすより早く作りたい時は、フードクラッシャーなどで、フードを細かく砕くと良いでしょう。
水分は少しずつ足しながら、愛犬にちょうど良い柔らかさに調節してください。
カボチャやさつまいも、にんじんなどの野菜を茹で、煮汁の量を調節して一緒にミキサーにかけて柔らかくペースト状にすると、ビタミンなどの栄養素が取れる流動食になります。
どうしても食欲がない時は、バナナなどの果物をミキサーでペースト状にし、ヨーグルトを加えると、愛犬の食欲が増す流動食となるでしょう。
日常生活で食べるような常食としてではなく、流動食のきっかけやおやつ代わりに与えるのがおすすめです。
「ボーンブロススープ(骨スープ)」を知っていますか?
骨・関節とそれらの周囲の組織を低温でじっくり煮込むことで
栄養満点のスープができます。
作り方は、鶏・牛・豚などの骨がらを、アップルサイダービネガーと水で24時間コトコト煮込んで出来上がり。
コラーゲンやミネラルビタミンなどの栄養素をたっぷりと取ることのできるスープです。
野菜なども加えて一緒に煮るのも良いでしょう。
スープだけを与えるのも良いですが、冷凍しストックしておいて、ほかの材料で流動食を作る際の水分として活用もできます。
シニア犬向けの流動食は市販品でも、さまざまなフードが販売されています。
愛犬の好みなども視野に入れて上手に活用すると、飼い主さんの負担も減りますし、愛犬も喜んで食べてくれるかもしれません。
ワンちゃんに流動食を与える際は、いくつか注意しなければいけないポイントがあります。
ワンちゃんがスムーズに食事を取れるように、確認しておきましょう。
ワンちゃんが自力で食べることができるのであれば、縁が高くないお皿を口の傍に持って行って流動食を食べさせることができます。
しかし、そうではない場合はスプーンやシリンジで少しずつ与えてあげましょう。
自力で食べられるワンちゃんでも、少しでも疲れる様子があれば、スプーンやシリンジで介助して与える方法に移行したほうが事故を防げます。
スプーンやシリンジを使用する時は、ワンちゃんが飲み込んでいるか確認をしながら、少しずつ流し込むようにしましょう。
うまく飲み込めないようなら、喉のあたりを優しくさするように撫でてあげてください。
シニアのワンちゃんの食事の時間は、なるべく短時間にすることがポイント!
食事時間が長いとワンちゃんが疲れてしまいます。
15分くらいを目安にして、長くても20分以内に収めるのが理想です。
食事の際には、事前に必要な物を用意して、素早く手に取れるようにしてくださいね。
もしワンちゃんがあまり食べたがらないようであれば、いったん食事をさげてしまいましょう。
その後、タイミングやフードを変えて再度チャレンジしてみてください。
ワンちゃんも高齢になると、一度に食べることができる量が減り、消化吸収にも時間がかかるようになります。
そのため、食事の回数を3~4回くらいに分けて与えると良いかもしれません。
1日に食べるべき給餌量を計算し、何度かに分けて食べきることを目標にしましょう。
食べたがらない時は無理強いせずに、ワンちゃんが食べられるタイミングに食べられる物を少しずつ与える、という方法がオススメです。
流動食をワンちゃんに与える際、寝たきりのワンちゃんでも横になったまま給餌を行うのはやめましょう。
横になったまま与えると、誤飲の原因になりとても危険なため、ワンちゃんの上半身を起こした姿勢で与えてください。
上体を起こすのが困難なワンちゃんなら、クッションや座椅子などを利用して頭の位置を高くし、体を固定して安全に食べられるようにしてあげてください。
シニア犬は、喉の渇きを感じにくくなる上、水飲み場まで行くのが難しくなったり億劫に感じたりするため、水分不足に陥りやすい傾向があります。
水分をしっかり摂ることは、脱水症状の予防や口腔内の清潔を保つ効果が期待できるため、シニアのワンちゃんにも積極的に水分補給をしてほしいもの。
流動食は水分が多いように見えますが、さらにスープ類や水で積極的に飼い主さんが与えるようにしましょう。
水分補給の際はスプーンやシリンジよりもスポイトを利用したほうが与えやすいですよ。
ワンちゃんがシニアになっても健康で過ごすために、食事はとても重要な行為です。
流動食の給餌は少しの手間はかかりますが、飼い主さん・ワンちゃん共に慣れてくると、スムーズに食べることができるようになるでしょう。
愛犬のシニアライフがより豊かで快適なものになるよう、飼い主さんは工夫やサポートを頑張ってみてくださいね!
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