ワンちゃんの遠吠えを聞いたことはありますか?
救急車や町内会のサイレンの音などに反応して、まるで狼のように遠吠えをするワンちゃんがいますよね。
遠吠えは、普段の鳴き声とは違い、大きな声で長い時間吠えるとても独特な鳴き声です。
愛犬が遠吠えをしている時、飼い主さんはご近所さんからの苦情が来ないかヒヤヒヤするもの。
この遠吠えは習性的なものなのでしょうか。
今回は、ワンちゃんが遠吠えをする理由や対処法について解説いたします。
ワンちゃんの祖先である狼が、遠吠えをすることは有名です。
テレビや映画などでも狼の遠吠えのシーンをしばしば見かけますが、とても迫力がありますよね。
同じ遠吠えでも、ワンちゃんと狼の遠吠えをする理由は異なります。
今回はこの遠吠えをする理由の違いを見ていきましょう。
狼は、パックと呼ばれる群れをつくって生活をします。
群れにはそれぞれ縄張りがあるため、この縄張りを主張するために遠吠えをするのです。
これは、群れ同士の争いを避けるという意味もあります。
そのほかには、狩りをはじめる合図や、はぐれた仲間を探すためにも遠吠えをすることがあるようです。
狼の遠吠えには、コミュニケーションツールとしての役割があるということですね。
それでは、狼から進化したワンちゃんの遠吠えにはどのような役割があるのでしょうか。
野犬の群れなどでは、遠吠えで自分の居場所を知らせ、仲間に帰り道を教えることがあります。
お家で飼われているのワンちゃんの場合、飼い主さんや家族を群れの仲間として認識しているので、飼い主さんや家族が留守にしているときに、遠吠えをすることがあります。
遠吠えをして、飼い主さんに帰り道を教えているのかもしれません。
野生の狼と同じように、家庭で過ごすワンちゃんも自分の縄張りをライバルのワンちゃんに知らせるために、遠吠えをすることがあります。
1頭が遠吠えをすると、次々と近所のワンちゃん達が遠吠えをしはじめることもあり、これはお互いにそれぞれの縄張りを主張しているためだと考えられています。
ワンちゃんがサイレンなどの音に反応して、遠吠えをすることがありますが、これはサイレンの周波数とワンちゃんの遠吠えの周波数が似ているためだと言われています。
毎日同じ時間にサイレンを聞く機会がある場合、遠吠えが習慣になってしまっているワンちゃんもいるようです。
そのほかにも、楽器や飼い主さんの歌声などに反応して遠吠えをするワンちゃんもおり、これは飼い主さんが奏でる音に反応して、一緒に参加したいという気持ちの表れなんだとか。
飼い主さんと一緒に楽しもうとするワンちゃんの姿はとても素敵ですよね。
ワンちゃんの遠吠えの声自体、少しもの悲しい声に聞こえますが、実際に恐怖や悲しみの表現として遠吠えをする場合もあります。
とくに分離不安気味のワンちゃんが、お世話をしてくれる人と離れたときに悲しみや不安を伝える手段として遠吠えすることがあります。
身体的な苦痛や不快感があるときに、遠吠えをするワンちゃんもいます。
飼い主さんに痛みや不快感を訴えて、注意を向けてもらうために遠吠えをするようです。
ワンちゃんが長時間ゲージに入れられていたり、運動や遊びが足りていないときなどにストレスを感じて遠吠えをすることがあります。
大きな声で遠吠えをすることで、ストレスを発散させようとする心理が働いているのです。
ワンちゃんが繰り返し遠吠えをするときは、ストレスの原因を見つけ、取り除いてあげることが大事です。
若いときは遠吠えをしなかったワンちゃんが、加齢と共に遠吠えをするようになる場合も。
認知症によるものや、視力や聴力が衰えることで、ワンちゃんが混乱したり不安になったりすることが原因のようです。
ワンちゃんは、祖先の狼と同じような理由で遠吠えをすることもあれば、飼い主さんに様々なことを訴えるための手段として遠吠えを用いていることもあるということが分かりました。
遠吠えは全てのワンちゃんがするわけではありません。
中でも、個体による差はありますが一般的に遠吠えをしやすい犬種がいます。
遠吠えしやすい犬種としては、ダックス・フンド、ビーグル、バセット・ハウンド、ハスキー、アラスカン・マラミュートなどがあげられます。
愛犬が遠吠えをする場合、飼い主さんはご近所にも気をつかいますよね。
とくに夜間に頻繁に遠吠えをするワンちゃんであれば、苦情も心配です。
ワンちゃんに遠吠えをやめさせる方法はいくつかありますが、まずはなぜ遠吠えをしてしまうのかその理由を把握する必要があります。
ストレスや寂しさによる遠吠えの場合、その原因を取り除いてあげるようにしましょう。
飼い主さんの留守中に寂しがるときは、留守番の前に散歩に行ったり、一人遊びが安全にできるおもちゃやコングなどを与えるといった方法が有効です。
分離不安気味のワンちゃんの場合は、動物病院やトレーナーなどに相談してみるのもよいかもしれません。
ワンちゃんとの接し方や薬の処方などで、分離不安や遠吠えが改善することもあります。
ワンちゃんの運動不足からのストレスが原因のときは、散歩の時間を増やしたり、飼い主さんと遊ぶ時間を多くして体力を発散させてあげるとよいでしょう。
ワンちゃんがコミュニケーションをとろうとしていたり、家族を呼んでいるといった本能的な理由で遠吠えをしている場合は、飼い主さんがコントロールするのはなかなか困難です。
愛犬が遠吠えをはじめたら、おもちゃやおやつで気を引き、遠吠えをやめたらたくさんほめてあげるという行動を繰り返すことで、吠えないことを学習させるという対処方法が有効です。
また、サイレンなどの特定の音に反応して遠吠えする場合は、住環境の見直しが必要でしょう。
壁や窓に防音製品を設置して、音を遮るなどの対策が有効ですが、それが難しいときは、室内にラジオやテレビの音を流して、特定の音からの刺激を感じにくくするなどの、工夫をするとよいかもしれません。
体にどこか痛い箇所があるときなどの遠吠えなら、治療することでおさまることがあります。
認知症が原因の遠吠えの場合は、夜間にはじまることが多いもの。
飼い主さんが眠ることができなかったり、ご近所に気をつかったりと、生活にも支障が出てしまいます。
そのような場合は、動物病院でワンちゃんが安心して眠れるような薬やサプリメントを処方してもらうと効果がでる場合も。
しょうがないとあきらめずに一度動物病院で相談をしてみましょう。
狼のルーツを持つワンちゃんには、本能的な遠吠えはある程度は仕方のないこと。
飼い主さんはイライラしたりワンちゃんを強く叱ったりするのはやめましょう。
原因を特定することで改善できる場合もあるので、愛犬の様子をよく観察してあげることが大事です。
上手に気をそらしてあげたり、遊んであげたりすることで遠吠えをする時間を少しでも少なくすることができるとよいですね。
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