愛犬の毛の色が変わった?退色の原因とタイプを解説

愛犬の毛の色が変わった?退色の原因とタイプを解説

生後2週間のコーギーの赤ちゃん

 
ワンちゃんの中には、だんだん毛色が変わってくる子がいます。
家に迎えた時と今とを写真で見比べると、かなり色が薄くなったという子も多いでしょう。

かわいい我が子に変わりありませんが、この体の色の変化に戸惑う飼い主さんもいるのではないでしょうか?
退色するのは、もしかしたら体の具合が悪いのかもしれないのでは?と思うこともあるかもしれませんね。

今回は、このようなワンちゃんの毛色の変化「退色」について解説します。

 

退色のタイプ

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ワンちゃんの毛色は、遺伝子の配置によって決まります。
ベースの毛色から柄や差し毛などはすべて遺伝子の配置により決まり、同じ犬種でもさまざまなバリエーションがあります。
例えば同じチワワでも体全体の色が異なったり、眉毛のところに柄のある子もいますよね。

このようにワンちゃんはたくさんの毛色の遺伝子を持ち、優位性が高い毛色が優先されてその子の毛色が決定されるのです。

そしてその毛色が変わる退色には、体全体の色が薄くなったり、一部分だけが白くなったりするなどさまざまなタイプが見られます。
ここでは退色のタイプについて見ていきましょう。

 

老化による退色

人間が老化すると髪が白髪になるように、ワンちゃんも老化に伴い毛が退色することがあります。

とくに口周りや耳毛などが退色しやすく、見た目も老犬らしくなります。
老化による退色は個体差はあるものの、ほとんどのワンちゃんに起こるようです。

 

特定の犬種の退色

特定の犬種においては、遺伝的な理由により老化とは別に、成長とともに退色することがあります。
個体差もありますが、1~3歳で退色が始まる子が多いようです。
中にはパピー期から退色が進む子も。

退色が起こる犬種としてはトイ・プードルが代表的ですが、その他にもチワワやミニチュア・ダックスフンド、柴犬などにも見られます。

 

鼻の退色

ワンちゃんの中には、体毛だけでなく鼻の色が退色する子もいます。
ワンちゃんの鼻が以前は黒かったのに、気付けば赤茶色になっていたという現象もよく見られます。

また、冬場は日照時間の減少によりメラニン色素が不足し、鼻がピンクがかった色に変化する「スノーノーズ」が起きる子もいます。
春から夏にかけて色が黒く戻るケースがほとんどですが、ワンちゃんによってはピンク色のままになる場合もあるようです。

 

退色の原因

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ワンちゃんの退色にタイプがあることは分かりましたね。
続いて、退色が起きる原因について見ていきましょう。

 

メラニン合成酵素の働きが弱まる

メラニンには紫外線を吸収して色素を作ったり、皮膚細胞を紫外線によるダメージから守る働きがあり、色素の濃さはメラニン色素によって決まります。
また、メラニンにはユーメラニン(黒)・フェオメラニン(橙~赤)の2種類があり、その比率によってワンちゃんの毛の色が決定するのです。

人間では加齢により白髪が見られるようになるのと同様に、ワンちゃんも毛の色素が抜けていきます。
老化によって、メラニンの合成酵素の働きは弱まるのです。

ワンちゃんの老化による退色は、口や目の周り、まつげ、ヒゲの色などの顔から始まります。
顔の色が白っぽくなると優しい顔つきになりますよね。
シニアのワンちゃんがとてもかわいく見えるのは、この退色による印象の変化もあるのかもしれません。

 

栄養不足

シニア犬でなくとも、メラニンの合成が栄養不足によりうまく働かない場合があります。
メラニンの合成にはチロシンとフェニルアラニンというアミノ酸が材料になるのですが、栄養素が足りていない時には若いワンちゃんでも退色の原因になります。

また、退色のほか毛艶がなくなって被毛がパサパサになることも。

 

トリミング

シャンプーのしすぎや、バリカンでのトリミングも退色の原因になることがあります。

本来、「プラッキング」という毛を抜く手法でトリミングする犬種(ミニチュア・シュナウザーやワイアーコートを持つテリア種)は、バリカンを使用すると退色しやすいと言われています。

また、毛が一定の長さまでしか伸びないダブルコートのポメラニアンなどの犬種に、バリカンを繰り返すと毛が生えてこなくなったり、退色してしまうこともあります。

 

ストレス

人間でも強いストレスを感じると白髪が生えてくることがありますが、ワンちゃんのストレスも退色の原因になることがあるとされています。

 

特定の犬種の遺伝的要因

下記の犬種は遺伝的要因で退色しやすいといわれています。

・トイ・プードル
1~3歳前後に退色しはじめ、成長するとともに薄くなったり、淡いカラーに変色することがあります。
早い子なら生後半年で退色しはじめる子も。
とくにレッド・アプリコット・ブラウンのトイ・プードルは退色する子が目立ちます。
レッドからアプリコットに、アプリコットからクリームに、ブラウンからカフェオレに近いカラーに変色していくことが多いようです。
この状態は、ホワイトとよばれる真っ白の種類以外には、必ずと言ってよいほど現れる現象とされています。

・ヨークシャー・テリア
ヨーキーの名称で人気があるヨークシャー・テリアは、もともと色が変わる犬種です。
成長すると共に、黒い部分がシルバーに、茶色の部分がフォーンやゴールドに変色していきます。
光沢のある美しい毛色で「動く宝石」とよばれる犬種で、色の変化をあえて楽しむ愛好家もいます。

 

病気が原因の退色

退色は概ね心配のない現象ですが、ワンちゃんの体の一部の毛が白くなっている時には皮膚病によることも考えられます。
一部分の退色以外にフケが目立ったりできものができていたり、痒がる様子が見られるようであれば皮膚トラブルの可能性も。
そのほかにも「クッシング症候群」などの疾患にかかっている場合にも、毛色の変化があります。

 

退色は予防できない?

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ここまでに紹介したように、ワンちゃんの退色は遺伝子や成長、老化を原因とするため、残念ですが予防や元の色に戻すということは難しいでしょう。
ただし、栄養不足や病気が原因の場合は、根本治療をすることで改善できることもあります。

 

栄養不足による退色の改善法

ワンちゃんの退色の原因が栄養不足による場合は、総合栄養食と言われるドッグフードを主食にして、バランスの整った食事にしましょう。

メラニンの合成に大切な「チロシン」を食品から摂取するのもおすすめです。
チロシンは乳製品や大豆製品に多く含まれている栄養素。
ワンちゃん用のかつお節やチーズ、味付けをしていない納豆などから摂り入れられます。

 

病気による退色

先に述べたように、ワンちゃんが皮膚病にかかっている時にも一部分だけ毛色が薄くなったりすることがあります。
ワンちゃんの皮膚をよく観察して気になる点があれば、動物病院へご相談を。

また、退色が現れる病気として知られているのが「クッシング症候群」。
副腎からステロイドホルモンが過剰に発生してしまう疾患のことです。
クッシング症候群にかかると、毛が薄くなったり退色したりという症状が現れます。
また、呼吸が早くなったり、お腹が腫れたりなどほかの症状と併用して現れるため、この場合は動物病院を受診しましょう。

 

まとめ

ワンちゃんの退色のほとんどは遺伝子や老化、成長によるため、予防できるものではありません。

だからこそ、愛犬の変化を楽しみながら写真や動画に収めてみてくださいね。
飼い主さんにとっては、愛犬の変化もまた愛しい要素になるはずです。

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