ワンちゃんはシニアの年齢になると、足腰がだんだん弱くなるものです。
中には、自力で歩けなくなったり、寝たきりの生活を余儀なくされるワンちゃんも見られます。
寝たきりになったワンちゃんは、短期間で床ずれの症状を発症する可能性も。
これはワンちゃんにとってとても辛いものですよね。
この床ずれは、飼い主さんが気をつけて対処することで、予防することが可能なのです。
これから愛犬の介護をする、もしくは現在愛犬を介護中といった飼い主さんは、今回の記事をぜひ参考にしてください。
ワンちゃんが寝たきりになって、床やマットに長時間体が接することによって、皮膚表面の組織が壊死した状態を「褥瘡(じょくそう)」と言います。
これは一般的に「床ずれ」と呼ばれるもので、初期の状態は、皮膚が赤くなったり、皮膚が薄くなってかゆみや痛みが少し出る程度ですが、これを放置しているとだんだん症状が悪化していきます。
悪化すると皮膚に穴があいたり、骨や関節が露出したりといったひどい状態になることもあります。
また細菌感染して膿が溜まり、それが破裂して膿が大量に出ることも。
最悪の場合、傷口にウジがわいてしまうこともあります。
どのような原因から、ワンちゃんの床ずれが発症してしまうのでしょうか?
原因を知ることは、ワンちゃんを床ずれから守るためにとても大切なのでしっかりと把握しておきましょう。
ずっと同じ姿勢でいることで、常に体の同じ部分に体重がかかります。
そのため、その部分が圧迫されて血行不良になり床ずれを発症してしまうのです。
ワンちゃんが寝床で這うように動くと皮膚が引きずられ、摩擦で皮膚がすり減ることでも床ずれになります。
また、牽引(引っ張られる力)によっても、皮膚への血流が減少し床ずれの原因となってしまいます。
たとえば、食事の際などに上半身を起こした状態になり、長時間そのままにした場合などに一部の皮膚が引き伸ばされ、その部分が床ずれにつながる、というわけです。
食事が思うようにできなくなり、痩せてしまうことも床ずれの原因になります。
体が痩せることで体脂肪が減り、衝撃を和らげることができなくなるためです。
栄養不足でタンパク質やビタミンC、亜鉛などが不足すると、皮膚の炎症も治りにくくなってしまいます。
床ずれには湿気も大敵です。
湿気は皮膚の外側にある保護槽を弱くし、損傷させる恐れがあるうえに、摩擦も増強してしまうからです。
排泄物や皮脂、お手入れの際の水気などの湿気を放置すると、それが原因で床ずれがおきやすくなることもあります。
床ずれになってしまうと、ワンちゃんは痛くて辛いでしょうね。
症状が悪化しないように、床ずれを見つけたら早めに動物病院を受診することが第一ですが、具体的にはどのような処置がされるのでしょうか。
また、飼い主さん自身が対処しなければならない場合の手順も、確認していきましょう。
動物病院では、壊死した皮膚の部分を取り除き、細菌感染の有無を調べる検査をし、必要に応じて薬が処方されます。
患部を清潔に保つために周囲の毛をバリカンで刈る場合もあります。
皮膚の清潔さをキープするケアは自宅でもできることなので、飼い主さんがこまめにチェックして、毛が伸びてきたら短くカットしてあげると良いでしょう。
床ずれは病院での治療だけで完治する、ということはありません。
動物病院の指示で、自宅での治療やケアを行なうことが多いので、しっかりと獣医さんの話を聞くようにしましょう。
床ずれの程度によって対応方法が異なるため、まずは獣医さんに相談することをおススメします。
簡易的な対処方法としては、患部の周囲の毛を刈り、傷口を水道水できれいに洗浄して水気を拭き取り、
傷口をラップで覆って周りをテープで固定します。
このとき一部分をテープで固定せずにあけておき、体液が排出できるようにしておきましょう。
ラップがずれてしまうようであれば、布や包帯などで全体を固定してください。
万が一悪化し傷口にウジが発生した場合、発見後すぐに動物病院を受診しましょう。
すぐに病院へ行けない場合は、ピンセットでウジを取り除き、上記の治療法をおこなって応急処置をしてください。
床ずれは、飼い主さんのケアで事前に防げることが多いもの。
寝たきりのワンちゃんを、なるべく床ずれしないようにするには、どのような方法があるのでしょうか?
圧迫される部分が1点に集中しないように、2~3時間おきに体勢を変えてあげることで床ずれを予防することができます。
寝返りをさせるとき、寝かせたまま背中だけ持ち上げると、内臓に負担がかかってしまいます。
一度抱き上げて上体を起こしてから、反対側を向かせるようにすると良いでしょう。
長い間寝たきり状態が続くようであれば、低反発素材の床ずれ防止のマットなどを使用するのもおすすめです。
沈み込みが少なく、体圧も分散してくれるので、ワンちゃんにとって、寝心地が良い状態にすることができるでしょう。
皮膚のダメージを軽減するために、愛犬の体を清潔に保つことも重要です。
とくにお尻周りは毎日こまめにチェックしてあげましょう。
排泄物はすぐに取り、愛犬の体や周りに付着したらすぐに拭きとって下さい。
お尻周りの毛を短くカットし、尻尾が邪魔になるときは、ペット用の伸縮包帯などでガードしておくと、汚れたときに取り換えやすく、ケアもしやすいです。
普段は蒸しタオルや、水不要のシャンプーなどで優しくワンちゃんの体を拭いてきれいにしてあげましょう。
最後に乾いたタオルを押し当てるようにして水気をしっかりとってくださいね。
床ずれになってしまうと、愛犬はとても痛く、辛い思いをすることになります。
ただでさえ体力の落ちたシニアのワンちゃんにとって命取りになることもあり、生活の質も低下してしまいます。
愛犬が快適に余生を過ごすために、ワンちゃんの様子をこまめにチェックしながら適切なケアを施してあげたいですね。
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