うんちは健康状態を映す鏡。
それによって愛犬の体調を把握している飼い主さんも多いでしょう。
毎日健康チェックをするなかで、もし愛犬が黒いうんちをし始めたら要注意のサインです。
必ずしも不調とは限りませんが、病気の兆候である可能性も。
このでは黒いうんちが出る原因や考えられる病気、動物病院を受診した方が良い場合を解説します。
愛犬の体調の変化を見逃さないためにも、黒いうんちが出る原因を知っておきましょう。
ワンちゃんの理想のうんちは、茶色、黄土色、緑がかった茶色、濃い茶色など茶系の色をしています。
食べた物の色の影響を受けやすいですが、食事やおやつを変えなければ基本的にうんちの色は変わりません。
そのため、黒いうんちが出た時には、1~2日前にいつもとは違う変化があった可能性を考えてみましょう。
食べ物の色以外にも、食べ物の成分によって黒くなることがあります。
1~2日前にワンちゃんが以下のものを食べていないか、振り返ってみましょう。
①肉や魚
タンパク質の多い肉や魚を食べると、含まれるミネラルによってうんちが黒く変色します。
②薬やサプリメント
鉄分を含む貧血の治療薬やサプリメント、吸着炭を含む腎臓病の薬も色の変化に影響を与えます。
③食物繊維
食物繊維を多く含むフードは、摂取初期に黒いうんちが出やすくなります。
このように摂取したものを原因として黒いうんちが出た場合は、基本的に病気の心配はありません。
腸内環境が整っていないことも、うんちが黒くなる原因の一つです。
栄養バランスが偏ったフードや、体質に合わないフードを食べ続けると、腸内がアルカリ性に傾きます。
そうすると、悪玉菌が優位となりうんちが黒くなってしまうのです。
ヨーグルトやサツマイモなど、善玉菌が優位になりやすい食品を取り入れることで正常な色に戻っていくでしょう。
ただし、乳糖不耐症のワンちゃんには適さないため、注意が必要です。
ワンちゃんは環境の変化によって、ストレスを感じることがあります。
例えば、遠出やペットホテルの利用、来客といった精神的な変化のほか、気候や気温の外的変化もストレスになります。
ストレスがかかると、自律神経の乱れにより腸の動きが悪くなってしまいます。
この状態だと、善玉菌の動きが弱まり、悪玉菌が増える原因に。
ひどい場合は、胃腸炎や出血を起こすことにもなりかねません。
ストレスの原因となる変化を減らし、生活環境を一定に保つことで黒いうんちは収まってくるでしょう。
黒いうんちは、ワンちゃんの胃腸で出血が起きた場合にも見られます。
炎症や腫瘍、異物などによって、食道・胃・十二指腸・小腸などの部位で出血することがあります。
胃や腸などで出血した赤い血が、黒いうんちとして排泄されるのは、血中の鉄分が黒く酸化したため。
排泄されるまでの長時間の間に、化学反応を起こしたと考えられます。
血が酸化した黒いうんちはタール便とも呼ばれ、粘り気があることが特徴です。硬いうんちや下痢として排泄されることもあります。
血便が疑われる場合は早急に動物病院を受診しましょう。
黒いうんちが血便だった場合には、以下のような重症度の高い病気を抱えている傾向があります。
①胃潰瘍
胃酸により胃自体が消化され炎症が進んだ結果、胃粘膜に深い傷を負う病気です。
嘔吐、腹痛、食欲低下などの症状が現れます。
胃腺ガンやガストリノーマ(ガンの一種)、非ステロイド性抗炎症薬の副作用によって発症することも。
②胃腸炎
胃腸の粘膜に炎症を起こして出血する病気です。
症状には嘔吐、下痢、血便、元気の消失などが見られます。
③パルボウイルス感染症
この病気は感染力が強く、犬パルボウイルスに感染した犬のうんちや吐しゃ物を、口からとり込むことで発症します。
一般的な腸炎型の症状は下痢・嘔吐・白血球の減少・食欲の低下・トマトジュース状の血便などです。
③腫瘍/ガン
腫瘍には良性と悪性があり、悪性腫瘍の一部がガンです。
消化器系にガンが発生すれば、吐き気や下痢などの症状が現れ、進行すると食欲や体重の低下が見られます。
④内臓疾患
内臓疾患には膵炎や腸閉塞などがあります。
膵炎は太めのワンちゃんやシニア犬によく見られ、急に膵臓が炎症を起こすことで胃や小腸から出血します。
腸閉塞のうち腸捻転は腸がねじれてしまう病気、腸重積は腸の一部が腸内に入り込んで抜けなくなる病気です。
腸捻転や腸重積では嘔吐を繰り返す、元気がなくなるなどの症状があります。
⑤細菌性腸炎
サルモネラやカンピロバクター、大腸菌などの細菌感染による病気です。
下痢や嘔吐、食欲低下、脱水などの症状が起こります。
⑥消化管内異物
異物を誤飲することで消化管内を痛め、出血した場合に起こす病気です。
パピーやなんでも口にする癖のあるワンちゃんに見られます。
⑦リンパ腫
血液中の白血球がガンとなる病気で、腫瘍のなかでも発症率が高めです。
5~10歳前後のワンちゃんがかかりやすく、消化器型の場合は下痢・嘔吐・食欲や体重の低下があります。
⑧寄生虫感染
回虫・コクシジウム・ジアルジアなどが寄生すると、腸内の粘膜を傷つけて、出血が見られます。
免疫力の低いパピーやシニア犬、ほかのワンちゃんとの接触が多い場合などにかかりやすい病気です。
このように、軽視できない病気を抱えていることもあるため、慎重に状態を見極めることが重要になります。
食事や環境などの変化が見当たらないのに、黒いうんちが出た場合は、次のような様子がないか観察しましょう。
うんちの回数や量が増加した、あるいは減少した
赤い便が混じっていた
便が黒くなってきた
軟便・下痢・嘔吐が見られる
黒いうんちが2日以上続いた
元気がなく食欲が低下し痩せてきた
うんちが非常に臭く虫が見える
ほかにも、飼い主さんが愛犬に触ろうとすると嫌がる場合は、誤飲や膵炎によって痛みが発生している可能性があります。
このような症状が見られたら早急に動物病院を受診しましょう。
受診時にはうんちの現物や写真を持参し、排泄の回数や量などを獣医師に伝えると、正しい診断の助けとなります。
ワンちゃんが黒いうんちをする原因には、食べ物やストレス、腸内環境のアンバランス、病気などが考えられます。
粘り気のある黒いうんちをし、そのほかにも症状が見られる時は病気を疑いましょう。
愛犬のうんちを普段から観察し、変化が見られた時に適切な対応ができるよう、参考にしてくださいね。
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