人とワンちゃんには数多くのストーリーが存在しています。
「名犬ラッシー」や「忠犬ハチ公」のようなお話はもちろん、身近なニュース・事件でも、ワンちゃんが飼い主さんの命の危機を救い、驚きと感動をもって伝えられることもしばしばですね。
それは特別に訓練や教育された反応行動としてとられた結果なのか、それとも「この人を助けたい!」という思いからとられた行動なのか、はたまた何かの偶然が呼び寄せたことなのか……
これまで、そうした不思議が明らかになることはありませんでした。
しかし、最新研究によりその行動の裏づけがされたのです。
研究を行ったのはアメリカのアリゾナ州立大学チーム。
60匹の犬と飼い主さんの協力を得て、閉じ込められた飼い主さんが助けを求めた際、愛犬がどのような行動をとるかを実験しました。
なお、この実験に参加したのは、特別な訓練を受けた経験はなく、ペットとして飼育されている一般的な犬と飼い主さんです。
まず、飼い主さんには大きな箱の中に入ってもらい、閉じ込められた状況を作り出します。
続いて愛犬を放ち、飼い主さんを救出する行動をとるか、そしてのその動機付けがいったい何なのかを探るため、以下の3つのパターンに分けて観察しました。
1. 飼い主さんが「助けて!」と叫ぶパターン
2. 飼い主さんがご褒美のフードを持っているパターン
3. 飼い主さんが静かに本を音読しているパターン
また、飼い主さんが犬の名前を呼んでしまうと、その指示に従ってしまい本来の調査ができないため、どのパターンにおいても、愛犬の名前を呼ばないようにルールを設けて行いました。
実験の結果、愛犬が飼い主さんを閉じ込めている箱を開けることができたのは以下の通りです。
1. 飼い主さんが「助けて!」と叫ぶパターン
60匹中、20匹が箱を開けることに成功。
2. 飼い主さんがご褒美のフードを持っているパターン
60匹中、19匹が箱を開けることに成功。
3. 飼い主さんが静かに本を音読しているパターン
60匹中、16匹が箱を開けることに成功。
1と2では大きな差はありませんでしたが、3の飼い主さんが落ち着いた状態で声をだしている場合は、最も成功例が少ないという結果になりました。
また、飼い主さんを救い出すまでの時間について、パターン1と3を比較すると、1の方がより速く箱を開ける傾向にあり、さらにテスト回数を増やしていくと、そのスピードが増すという調査結果が得られました。
こうした変化はパターン3では確認されず、飼い主さんの声のトーンから「危機が迫っている」と感じ取ることで行動に変化が生じた可能性がきわめて高いと考えられます。
さらに、実験に参加した犬のストレス状況を合わせて調べると、パターン1で飼い主さんが助けを求めて叫んだ際に、鼻を鳴らす、歩き回る、吠える、あくびをするなどの、ストレスを感じている時にとられる行動が最も多く確認されました。
この結果から、ワンちゃんは飼い主さんの声から異変を察知し、「助けたい」という気持ちから行動しているということが示されました。
あらためて人と犬の絆を感じさせられる興味深い研究結果でしたね。
飼い主さんの声のトーンを感じ取っているとしたら、愛犬は思っている以上に飼い主さんのこと普段から観察していることになります。
日常から愛犬とのコミュニケーションを積極的にとっていくことが大事だと再確認できますね。
参考リンク📝
PLOS ONE
この記事はいかがでしたか?みんなにシェアしていただけると嬉しいです♪
ブッチ・ジャパンによる愛犬・愛猫との毎日を応援するペットのためのコラムページ『PECOLA(ペコラ)』。犬・猫に関する豆知識や、ペットの健康・しつけなどのお悩みに関する情報をご紹介します。