秋の風物詩イチョウ。
葉が落ちるとあたり一面が黄色く染まり、とてもきれいな景色になります。
そんな景色を楽しむために、この時期はイチョウのある並木道や公園に出かける方も多いでしょう。
ですが、そんな中で気を付けたいのがイチョウの実である銀杏。
炒ったり茶碗蒸しに入れるなど、秋の味覚として好まれている食材ですが、ワンちゃんに与えてはいけません。
今回はワンちゃんが銀杏を食べてしまった時に見られる中毒症状や、その対処法について紹介します。
聞いたことがある方もいるかもしれませんが、銀杏はワンちゃんに与えてはいけない食材のひとつ。
まずは、具体的に何がNGなのかを見ていきましょう。
私たち人間でも、銀杏を一度にたくさん食べてしまうと中毒症状を引き起こします。
これは銀杏の胚乳と呼ばれる可食部分に「メチルピリドキシン(ギンコトキシン)」という有毒成分が含まれているためです。
有毒成分であるメチルピリドキシンには、ビタミンB6の働きを阻害する作用があります。
そのため銀杏を多く食べることでビタミンB6欠乏症となり、痙攣や嘔吐などの中毒症状を引き起こしかねません。
銀杏中毒は人間でも起こり得るもので、とくに解毒機能が発達していない子供が発症することが多いです。
ワンちゃんは人間の子供よりもさらに解毒機能が発達していないため、少量でも重症化する恐れがあります。
人間の成人の場合では、40粒ほどが中毒症状をおこす摂取量の目安とされ、1日に食べる量は15~20粒ほどに抑えた方が良いと言われています。
子供の場合はさらに少なく、5~6粒ほどでも中毒をおこす危険性があります。
ワンちゃんには与えてはいけない食材になるので「何粒まで問題ない」とは言えませんが、人間の子供より体が小さいなら、少量でも危険だということが想像できますよね。
もちろん個体差もありますが、小型のワンちゃんや内臓機能が未発達なパピーの場合には、1粒でも中毒症状を引きおこす危険があることを知っておきましょう。
口にして中毒症状を引き起こすメチルピリドキシンの他にも、銀杏には有毒成分があるのをご存知ですか?
「ギンコライド」という銀杏の殻に含まれる成分は、触れると皮膚炎や頭痛などを引き起こします。
その他にも、血が固まることを遮る凝血抑制作用があるので、血が止まらなくなる可能性も。
ワンちゃんにとって銀杏はとても危険な食材であることが分かりました。
ですが銀杏は枝から落ち、道端に転がっていることもあるため、意図せず口にしてしまうことも。
万が一、愛犬が口にしてしまった時に起こりうる症状を把握しておきましょう。
銀杏中毒の消化器症状として、吐き気・嘔吐、下痢などの症状があらわれます。
銀杏中毒になると、神経症状として、めまいや意識混濁、痙攣、ふらつき、下肢の麻痺などがあらわれることもあります。
これらは脳内でグルタミン酸が過剰に増えることで、脳が興奮状態になるためにあらわれる症状と考えられています。
ワンちゃんが銀杏を食べたときの他の症状として、発熱や、ときには不整脈などの症状があらわれる場合もあります。
銀杏がワンちゃんにとって有毒だと知っていれば、食材として私たちが食べる時に誤食させる可能性は低いですよね。
ですが、厄介なことに秋は道端に銀杏が落ちている季節。
万が一、愛犬が拾い食いしてしまったら、どのような対応をしたらいいのでしょうか。
愛犬が銀杏を食べるのを見た際には、口を開けさせて、口内に残っているかどうかを確認します。
まだ飲み込む前であれば、すかさず口から取り出しましょう。
ワンちゃんによっては、食べた瞬間に「ダメでしょ!」と声をかけるなど、飼い主さんが大きく反応してしまうと慌てて飲み込もうとする子がいます。
飲み込ませないためにも、できるだけ騒がず迅速に口の中を確認してください。
ワンちゃんが銀杏を飲み込んでしまった場合、とっさに吐き出させたいと考えるでしょうが、無理に吐かせることは避けましょう。
動物の医療知識のない私たちが、そういった行為をとることはとても危険です。
銀杏を食べてから中毒症状をおこすまでの時間は、個体差もありますがだいたい食後1~12時間で、その後24時間ほど症状が続くと言われています。
食べてしまってすぐに症状が出ていなくても、早めに動物病院を受診してください。
また、愛犬がどれくらいの量をいつ食べてしまったのかを動物病院で正確に伝えられるように、落ち着いて状況を確認するようにしましょう。
今回は秋の味覚として人気のある銀杏が、ワンちゃんに与える危険性についてお伝えしました。
食欲の秋、行楽の秋など秋にはたくさんの楽しいことがあります。
ワンちゃんと一緒に、紅葉を楽しみに郊外に出かける計画がある飼い主さんも多くいることでしょう。
ワンちゃんが銀杏を食べてしまって、楽しいはずの秋の行事が台無しにならないよう飼い主さんは充分に気をつけてあげてくださいね。
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