フローリングや高所に要注意!ワンちゃんの骨折の治療と予防を解説

フローリングや高所に要注意!ワンちゃんの骨折の治療と予防を解説

Close up broken leg a sick dog with colourful bandage lying inside the cage at animal shelter Image

 
大切な愛犬には怪我や病気をせず、元気で過ごしてほしいですね。
けれど、どんなに飼い主さんが気を付けていてもすべての怪我を防ぐことはできません。

そんなワンちゃんの怪我の中で比較的頻繁に起こりやすいのが骨折です。
骨が折れたりヒビが入ったりする骨折は、ワンちゃんに痛い思いや不自由な思いをさせてしまいます。

また、手術をしなければならない場合にはワンちゃんの体への負担が大きく、さらに飼い主さんには治療費の負担もかかります。
今回はそんなワンちゃんの骨折の原因や治療方法などについて解説します。

 

ワンちゃんの骨折の見分け方

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ワンちゃんが体の一部分を庇って歩いている時や、痛そうにして歩きたがらない時はとても心配になりますよね。

様子を見ているとしばらくして平気そうに歩き出すこともありますが、骨折したかどうかはどのように判断すれば良いのでしょうか。
ここでは骨折の症状を紹介します。

 

骨折した時に見られる症状

ワンちゃんに下記のような症状が見られる時は骨折等の怪我をしている可能性があるので、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

・疑いのある部分が熱を持ち、腫れている
・抱っこを嫌がる(吠える・鳴く・怒るなど)
・疑いのある部分を触ると痛がる
・足を地面に付けようとしなかったり、立った状態で足を常に上げたりしている

 

捻挫との違い

骨折とよく似た怪我に「捻挫」もありますが、骨折との見分け方はワンちゃんが歩くことができるかどうかです。
どちらの怪我でもワンちゃんは痛みを感じますが、歩ける場合は骨折ではなく捻挫をしている可能性が高いでしょう。

 

骨折の原因

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ワンちゃんが骨折するのは特別な環境においてだけでなく、普段の生活のほんの些細なきっかけから発生してしまうこともあります。
ではワンちゃんはどのような原因から骨折してしまうのでしょうか?

 

高所からの飛び降り

階段や段差から飛び降りた時に、バランスを崩して骨折してしまうことがあります。

ワンちゃんは前足から着地するため、高い所から勢いよく飛び降りることで、前足に大きな負担がかかってしまいます。
そのためワンちゃんの骨折は、前足で発生することが最も多いと言われています。

 

足を滑らせる

自宅の床や階段のフローリングで足を滑らせることも骨折の原因になり得ます。

また雨や露で濡れている側溝のグレーチングやマンホールの蓋等も滑りやすいため注意が必要です。

 

抱っこ中の落下・足を踏まれる

飼い主さんの不注意から、抱っこしているワンちゃんを落下させてしまい骨折することがあります。
抱っこをよくする機会があるパピーのワンちゃんや、小型犬の飼い主さんは気を付けなければいけません。

中にはドッグカートから飛び降りてしまう子もいるため、興奮している時はカートのカバーをかけるようにしましょう。

また、人間の不注意で足を踏まれた時も、パピーのワンちゃんや骨の細い小型犬では骨折してしまうことがあります。

 

事故

交通事故やドッグスポーツなどを行っているワンちゃんの競技中の事故など、非日常時のアクシデントによることが原因で骨折してしまうこともあります。

 

骨折を防ぐためのポイント

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骨折してしまうと負傷した部位は強い痛みが生じます。
そんな思いをさせないためにも、普段の生活でどのように骨折を予防したらいいのでしょうか。
押さえておきたいポイントを紹介します。

 

高所に登らせない

できるだけ高い所には登らせないことが良いでしょう。
お家の階段もできるだけ登らせないようにペットゲートを設置するなどの工夫をすると良いかもしれません。

けれど環境によってはどうしても階段を利用しなければならない場合もあるかもしれませんね。
そんな時は滑り止めマットを敷くなどして、足が滑らないようにしてあげると良い対策になります。

またソファやベッドなどには、ワンちゃん用のスロープを付けることも段差対策になります。

 

フローリング対策をする

フローリングの床材はワンちゃんにとっては滑りやすく危険です。
滑らないようなペット用のフローリング材や、フロアマットなどを敷いて滑らないように対策をしましょう。

とくにパピーや足腰が弱ってきたシニアのワンちゃんには注意が必要です。
足の裏の毛が伸びていると滑りやすいので、まめにカットしたり、滑り止めの靴下を履かせるのも滑り対策になります。

 

ドアの開閉に注意する

玄関や室内のドアにも注意が必要です。
ワンちゃんがドアに足や体を挟まれて、骨折することもあります。

とくに運動機能が弱ってきたシニアのワンちゃんなどはリスクが高まるので、頻繁に使用するドアの開閉時には注意して、ストッパーを設置するなどの対策をしましょう。

 

抱っこに慣れさせておく

飼い主さんが安全に抱いているつもりでも、ワンちゃんが驚いたり興奮したりして腕から擦り落ちてしまうこともあります。
そのため、外出時などに愛犬が興奮しないように、ワンちゃんには普段から抱っこに慣れさせておくのがおすすめです。

ワンちゃんを抱っこをする時は、座っている状態から抱っこすると驚いて暴れた時も対処しやすいです。

また子供がいる家庭では、お子さんにワンちゃんの扱い方を教えておくことも欠かせません。

 

散歩の時のポイント

愛犬と外出する際は、交通事故やほかのワンちゃんとのトラブルから怪我や骨折をする危険性が高まります。
首輪の緩みがないか、リードが壊れたりちぎれたりしていないかを必ず外出前にチェックしておきましょう。

また愛犬と歩く際はワンちゃんが急に飛び出して事故に遭わないようリードは短めに持ち、ワンちゃんから常に目を放さないように注意しましょう。

 

骨折の手術について

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不幸にもワンちゃんが骨折してしまった場合に、どのような治療法があるのかご存知ですか?
手術になった時に治療にかかる期間や入院の有無、また治療法について解説します。

 

骨折の検査

動物病院では骨折しているかどうかは、一般的にレントゲン検査で判断するところが多いでしょう。
骨折の有無や場所、骨折の程度を調べることができます。

 

治療方法

治療法は主に下記の3つが挙げられます。

・ギプス固定
ギプス固定は手術の必要がない軽度の骨折や、手術ができない箇所の骨折時に行われる治療方法です。
グラスファイバーやシーネを用いて、骨折箇所を固定します。
骨折から手術までの日数がある場合にも行われることがあります。

・プレート固定法
プレート固定法は、折れた骨を金属の細いプレートとネジを使用して固定する方法です。
骨折の手術法の中では、最も多く行われる方法で早期回復が見込めます。
手術した翌日から歩けるようになる場合もあります。

・創外固定法
小型犬やパピーなど足が細いワンちゃんでは、プレート法ではプレートが血管を圧迫して血行障害を起こす場合があります。
そのような状態の時に行われるのが創外固定法で、皮膚の外からピンを刺して骨を固定する術式です。
創外固定法も早期回復が見込めると同時に、治療後に金属が体内に残らないというメリットがあります。

 

手術費用は?

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健康保険が効かないワンちゃんの手術費用は高額になることもあり、愛犬が骨折した時にどれくらいかかるかも気になりますよね。
骨折した部位や動物病院によって差はありますが、ここでは一般的な費用について紹介します。

 

治療法による違い

人間の医療と同じように、ワンちゃんも治療法によって費用が異なります。
一番簡単な方法のギプス固定で1万円からが治療費の目安です。
創外固定の手術で10万円から、プレート固定の術式では15万円以上が目安となります。

 

骨折部位によっての違い

ワンちゃんが骨折した部位によっても、治療費は変わってきます。
小型犬によくある前足の骨折の場合の治療費の平均が4~5万円となっており、より重症の脊椎骨折の場合の治療費の平均は7~8万円と言われています。

 

術後の過ごし方

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ワンちゃんが骨折の手術をした後には、どんなことに気を付けて過ごせば良いのでしょうか?
術後の過ごし方には愛犬が早く治癒し、後遺症を残さないためにも大切なポイントがあります。

 

退院後の通院

手術後は退院してからも、経過観察や治り具合を見るために通院をしてレントゲン検査を行います。
治りが悪かったり、痛みや炎症が生じてしまう場合もあるため、飼い主さん判断で通院を終えないようにしてください。

 

トリミングやシャンプーは控える

術後はよほどのことがない限り、シャンプーやトリミングは控えるようにしましょう。
汚れや匂いが気になる時は、ブラッシングや部分的なドライシャンプー、拭くだけのワンちゃん用ボディーシートを活用してください。
もちろん、ぬるま湯で硬く絞ったタオルで拭いてあげるのも効果的です。

 

排泄問題

骨折の部位によっては、ワンちゃんが自力で排泄ができなくなる場合も考えられます。
ワンちゃん用オムツが必要なケースもあることを理解しておきましょう。
また、オムツを着用するとストレスで排泄を我慢してしまう子も。
そういった場合には飼い主さんの介助が必要になります。

 

リハビリを行う

回復してきたら動物病院の指示でリハビリをすすめられることもあります。
適切なリハビリは機能回復を早める効果もあります。

術後は運動量や食事量の変化により、筋力の低下や体重の増加などがある場合もあるので、リハビリは新たな怪我のリスクを防ぐためにも有効です。

 

術後の散歩

ワンちゃんが回復して元気になっても、術後初めての散歩には注意し、時期や注意点を動物病院で相談してから行いましょう。
はしゃぎすぎないよう、最初は人の少ない時間や場所を選ぶと良いでしょう。

 

まとめ

今回は、ワンちゃんが比較的起こしやすい怪我である骨折についてお伝えしました。

ワンちゃんをとりまく日常の中にはさまざまな危険が潜んでいます。
骨折をしてしまうと、ワンちゃんは大変痛い思いをするとともに、回復するまでには生活にも支障が出ます。

日頃の環境づくりやスキンシップの方法などにも気を付けて、大切なワンちゃんを骨折の危険から守ってあげましょう。

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