白内障とは、目の中でカメラのレンズのような役割をしている「水晶体」という構造物が白く濁り、視力が低下する病気です。
人間では高齢になるとよく見られる病気ですが、人間だけではなく、ワンちゃんも白内障にかかることもあるのです。
しかしワンちゃんの白内障は人間と異なる点がいくつかあります。
ワンちゃんの白内障の症状や原因、人間の白内障との違いなどについて知り、ワンちゃんの目の異常の早期発見につなげましょう。
ワンちゃんの白内障には進行具合によって、ステージ1からステージ4までの段階があります。
ステージが上がるごとに症状が顕著にあらわれてきます。
水晶体のふちの部分が白く濁っている状態で、見た目にも初期症状はほとんどありません。
日常生活を送るにあたっても目立った症状はなく、動物病院の診療でも気付かれることは少ないでしょう。
しかし遺伝性の白内障で網膜にも異常がある場合は、ステージ1でも夜になると見えにくくなる夜盲症の症状が見られることがあり、薄暗い部屋で歩きにくそうにしたり、物にぶつかったりすることもあります。
ステージ2になると白く濁った部分が水晶体の中に見え始めます。
ワンちゃんの見え方にも変化があらわれ、視界がぼやけたり目がかすんだりというような症状が出ることも。
さらに進行して水晶体全体が白く濁っている状態になり、瞳孔の部分が真っ白になるので見た目にも顕著にあらわれるので飼い主さんも気付きやすいでしょう。
また、視力の低下がみられます。
ステージ4はかなり進行した最終段階で、ワンちゃんにとっては失明する一歩手前の状態です。
水晶体は固くなり、痛みを伴う「ブドウ膜炎」という炎症を起こすことも。
このように初期の段階では、症状があらわれにくいので気付きにくいですが、ステージが上がるごとに、物にぶつかったりつまずく・壁づたいに歩く・近くにある食べ物が見つけられない・目が白くなる・瞳孔が開いているなど、目の見え方にも明らかに視力低下の症状があらわれてきます。
場合によっては痛みから攻撃的になってしまうこともあります。
ワンちゃんが白内障になる原因には、どのようなことがあるのでしょうか?
若年性の白内障の場合、遺伝を原因とする場合があります。
遺伝性の場合は、生後数ヶ月から数年のかなり若い時期から発症することもあり、2歳までの若いワンちゃんでも目の濁りが見られることも。
もともと遺伝性の要因を持って生まれてきて発症したものは、先天性白内障と言われます。
また、遺伝性白内障にかかりやすい犬種として挙げられるのは、トイ・プードル、アメリカン・コッカー・スパニエル、シー・ズー、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、シベリアン・ハスキー、ボストン・テリアなどです。
じつは糖尿病が原因で白内障を発症することもあります。
糖尿病により水晶体での糖代謝異常が起こることが原因と言われていますが、ワンちゃんが糖尿病になった場合は高確率で合併症として白内障を併発しやすいとされています。
また、糖尿病性の白内障は比較的進行も早いと言われているため注意が必要です。
6歳以上のワンちゃんが白内障になる原因は、加齢によることの割合が高いです。
年齢を重ねると共に、水晶体の変性がおこることが原因で白内障になります。
人間では加齢性白内障がとくに多く見られますが、ワンちゃんの場合はどちらかと言えば若年性白内障の方が多く見られます。
ブドウ膜炎や目の外傷に続発して、白内障になってしまうことも。
そのほかにはアトピー性皮膚炎で目の周りを慢性的にこすりすぎたりすることで白内障を発症してしまうこともあります。
ワンちゃんの白内障は進行すると、最終的には失明してしまう可能性があります。
できるだけ早く発見して治療を始めたいところですが、具体的にはどのように治療するのでしょうか?
白内障の治療方法として一般的なのは、点眼薬や内服薬といった内科的治療です。
点眼薬は加齢性の初期段階の白内障で処方されることが多いですが、あくまでも進行を遅らせるという目的のために用いられます。
点眼薬、内服薬いずれにしても内科治療においては進行を抑える効果しか期待できず、完治させることは難しいのが現状です。
そのほかの治療方法としては、外科的治療としての手術が挙げられます。
人間の白内障手術は日帰りでも行われ予後も順調に回復していますが、ワンちゃんの白内障の手術は難易度も高く、特殊な装置や設備が整った専門の病院で行われるのが一般的です。
しかしながらすべての子が手術できるのではなく眼底などの機能が正常な場合に限られ、全身麻酔により水晶体を取り除き、人工のレンズを目に入れることで再度目が見えるように回復します。
ワンちゃんの白内障の手術は人間の手術ほどメジャーではなく難易度も高いため、場合によっては緑内障や網膜剥離などの合併症がおこる危険性もあることを理解しておかなくてはいけません。
治療費も内科治療に比べて高額で、手術や入院費用などを含めると30~50万程度かかるとされています。
ワンちゃんの白内障を早期に発見するためには、定期的に眼科検診を受診が欠かせません。
普段から目に良いブルーベリーエキスやルテイン、アントシアニンなどの成分を含むサプリメントなどを与えることもおすすめです。
ワンちゃんが白内障を発症すると、完治することは非常に難しいことがわかりました。
日常的にワンちゃんの様子をよく観察し、ワンちゃんの目の健康に注意してあげるようにしてあげましょう。
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