知っておきたい愛犬と栄養の関係<鉄分編>

不足すると免疫力低下?知っておきたいワンちゃんと栄養の関係!鉄分編

Cute funny dog eating food at home
 
栄養素の鉄分と聞くと、どんなことを思い浮かべますか?

貧血には鉄分を摂取するといいとよく聞きますが、その他にはあまりイメージがわかない方も多いと思います。

ワンちゃんにとっても欠かせない栄養素である鉄分には、じつはさまざまな働きがあるんです。

今回は鉄分の役割や、摂取量、鉄分が多く含まれる食品など詳しく紹介していきます。

 

鉄分とは?

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鉄分は、体を健康に機能させるために必要不可欠な金属ミネラルのひとつ。
体内では血液や肝臓、脾臓、骨髄などに存在します。

また、体内にある鉄分のほとんどはタンパク質と結合しており、そのタンパク質によって2種類に分けられます。

 
ヘムという構造を持っているタンパク質と結びつくと「ヘム鉄」、ヘムを持たないタンパク質と結びつくと「非ヘム鉄」と呼ばれ、この2つにおける一番の違いは、体への吸収率です。

なんとヘム鉄は、非ヘム鉄に比べ、吸収率が5~6倍も高いといわれているのです。

 

鉄分の働き

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まずは、鉄分がどのような働きを持っているのかを確認しましょう。

鉄分の主な3つの役割をご紹介します。

 

酸素の運搬

赤血球中のヘモグロビンという色素に鉄が結合し、体全体に酸素を送る働きをしています。
呼吸によって摂りこまれた酸素は、鉄によって作られたヘモグロビンと肺で結びつき、全身に運ばれていきます。
鉄分が不足すると酸素が体中にまわらなくなり、貧血を引き起こす原因に。

 

鉄分の貯蔵

「貧血にはほうれん草やレバーを食べましょう」とよく聞きますが、これは鉄分がフェリチンというタンパク質と結合して肝臓に貯蔵されているためです。
このことを貯蔵鉄と呼び、血液中の鉄分が不足した際に、体内の貯蔵鉄から不足分が補われるようになっています。

 

酸素の貯蔵

筋肉は運動をするために多くの酸素を必要とするため、ミオグロビンという色素タンパク質が酸素を貯蔵しています。
ミオグロビンとは鉄の構成成分のひとつで、運動中に血液からの酸素供給が不足した場合の酸素ボンベのような働きを担っています。

 

適切な鉄分の摂取量は?

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ワンちゃんが1日に必要とする鉄分の量は、成犬体重1キログラム当たり1.32~1.4ミリグラムとされています。

しかし、健康なワンちゃんが総合栄養食であるドッグフードを食べている分には、特別に鉄分の摂取量を気にする必要はありません。

注意しなければならないのは、怪我で出血した場合や悪性腫瘍、鉄欠乏性貧血などといった病気にかかった場合。鉄分不足を療養食やサプリメントなどで補う必要がありますが、獣医師の適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

 

体内の鉄分が不足するとどうなる?

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それでは、もしも体内の鉄分が不足してしまった場合にはどのような症状が表れるのでしょうか。

 

歩行がフラつく

人間も鉄分不足になると貧血気味になり、目眩やふらつきの症状が出てしまいますが、ワンちゃんにも同じようなことが起こります。

 

免疫力低下

免疫力は、ガン細胞や外から侵入した細菌やウイルスなど有害なものを体から排除する防護システムのことを指します。
鉄分が足りないと体内に十分な酸素が送られず、免疫細胞もエネルギー不足となり機能の低下につながります。

 

疲れやすく息切れをする

部屋の中でゆっくりしているのに、息を切らしぐったりした様子の場合は要注意。
鉄分は体内に酸素を送る重要な役割を果たしているため、鉄分不足の場合、ワンちゃんの体内では酸欠状態になっているかもしれません。
睡眠時間が著しく増えたり、体全体を動かし呼吸しているような場合には、動物病院へご相談を。

 

被毛トラブル

鉄分は体内の細胞の働きにも関わっているため、不足してしまうとさまざまな臓器や器官に影響が表れます。
被毛がボサボサになってしまっている、ツヤがなくなってしまっているという場合には鉄分の不足の可能性も。

 

過剰摂取にはご注意を!

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ここまでご紹介したような鉄分の重要な働きや、鉄分不足により起こる症状を知ると、「愛犬にしっかり鉄分を摂らせたい」と感じますよね。

しかし体に良いからといって、サプリメントなどで過剰摂取させてしまうと、食欲の低下や下痢を引き起こすことがあります。

総合栄養食であるドッグフードを食べていれば問題ありませんが、完全手作り食の場合は鉄分を多く含む食品ばかりを偏って食べさせないよう注意しましょう。

 

鉄分を多く含む食品

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最初にお伝えしたように鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類あり、多く含まれる食品が異なるため、それぞれ一覧にまとめています。

また、この2つは体への吸収率に差があるため、吸収率の高いヘム鉄を多く含む食品を摂った方がよいとされますが、非ヘム鉄の食品をとっても意味が無いというわけではありません。

非ヘム鉄は良質なタンパク質やビタミンCを多く含む食品と一緒に摂取することで、体内への吸収率があがるので、食品の組み合わせに工夫すると効果が上がります。

鉄分を多く含むもの(ヘム鉄)

・馬肉(4.3ミリグラム)
・鹿肉(3.1ミリグラム)
・牛肉(2.7ミリグラム)
・豚レバー(13.0ミリグラム)
・鶏レバー(9.0ミリグラム)

 

鉄分を多く含むもの(非ヘム鉄)

・小松菜(2.8ミリグラム)
・ほうれん草(2.0ミリグラム)
・乾燥ひじき(6.2ミリグラム)
・茹でた大豆(2.0ミリグラム)
・卵黄(6.0ミリグラム)

 

※100グラム中に含まれる鉄の量。日本食品標準成分表(2015年七訂)参照

 

まとめ

私たち人間の場合、貧血は「休めば治る」と思っている方も多いですよね。ですがワンちゃんにとっては命に関わる場合があります。

とくに、腫瘍を持っている子や、シニア、パピーの場合は、様子がおかしいと感じたら、動物病院へご相談ください。

 

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