生命維持や身体活動のエネルギー源であるタンパク質、脂質、炭水化物の3つは「三大栄養素」と呼ばれています。
なかでもタンパク質は、筋肉や骨、臓器、爪、皮膚、被毛などを構成するために欠かせません。
「ワンちゃんの食事は高タンパクが理想」という言葉を聞いたことのある飼い主さんも多いでしょう。
では、ワンちゃんが必要とするタンパク質はどれくらいの量なのでしょうか。タンパク質の働きや、多く含む食材についてもご紹介します。
冒頭でも述べた通り、タンパク質は健康な臓器や丈夫な骨の形成、筋肉の成長において欠かすことのできない重要な栄養素。
とくに成長期のワンちゃんは、筋肉や内臓などの組織を作るために、成犬の4倍もの量が必要といわれています。
他にも、酵素として体の調子を整え血液を作りだすなど、動物が生きていく上で重要な働きをしています。
タンパク質は肉や魚、卵などの動物性食品に含まれる動物性タンパク質と、穀類や豆類などの植物性食品に含まれる植物性タンパク質の二種類に分けられます。
動物性タンパク質と植物性タンパク質の大きな違いは、アミノ酸のバランス。
では、この二つにはどのような違いがあるのでしょうか。それぞれみていきましょう。
動物性タンパク質には、ワンちゃんが体内で作ることができない必須アミノ酸がバランスよく含まれています。
肉食に近い雑食性のワンちゃんにとっては、肉や魚、卵二含まれる動物性タンパク質の方が、より消化吸収しやすいという点も特徴として挙げられます。
植物性タンパク質は、ワンちゃんの体内では消化吸収しにくいと考えられてきました。
しかし、食品の加工技術が進んだ現在では、植物性タンパク質でも問題なく消化吸収できるようになったともいわれています。
植物性タンパク質は、脂質が少ないため低カロリーでダイエット向きですが、必須アミノ酸が少ないため、動物性タンパク質と一緒に摂ることをおすすめします。
タンパク質はワンちゃんの生命活動に欠かせない栄養素であることを説明しました。
では、タンパク質が不足するとワンちゃんの体にどういう影響が出るのでしょうか。
簡単にまとめると、下記の5項目のような変化があらわれると言われています。
・被毛がパサパサになってツヤがなくなる
・筋力が落ちる
・体力が低下する
・皮膚が乾燥する
・体の免疫力が下がる
とくに成長期のパピーがタンパク質不足に陥ってしまうと、骨格や筋肉など体のあらゆるところに発育不全が起こります。
しかし、タンパク質は摂ればいいというわけではなく、過剰摂取をしてしまうと体の中でエネルギーが余ってしまい、肥満の原因となってしまいます。
さらに体内の過剰なタンパク質を、体外に排出するため、腎臓や肝臓などに負担がかかり、内臓の病気にかかるリスクが増えるることも。とくに、慢性腎臓病を患っているワンちゃんの場合は、タンパク質の摂取を控えなければなりません。
過剰摂取には注意し、良質なタンパク質を適度に摂取させるよう心がけましょう。
ペットフードの栄養基準などを定めている団体、AAFCO(米国資料検査官協会)によると、パピーや母犬(妊娠時、授乳時)などのとくに栄養を必要とするワンちゃんの場合、ドッグフードに必要なタンパク質の量は22.5%以上。
また、成犬が健康を維持するために必要なタンパク質の量は18%以上とされています。
この割合はドライフードの場合のため、水分を多く含むウェットフードでは異なります。
一般的に総合栄養食として販売されているものであれば、ガイドラインに沿った量を与えていれば、タンパク質不足になることはありません。
しかし完全手作り食の場合は、注意が必要です。
体重の2~3%、全カロリーの20~30%程度のタンパク質が必要とされていますが、犬種や体格、生活環境によって異なるため、かかりつけの獣医師さんへのご相談をおすすめします。
タンパク質を含む食材は、ここまでにもご紹介した通り、肉や魚、豆類などです。
スーパーで手軽に購入できるものも多いので、タンパク質が不足している場合には、オヤツやいつものごはんへのトッピングとして活用してみてください。
人間用の加工食品の多くは塩分やカロリーが高いためできるだけ避け、食材を茹でたり焼いたりといったひと手間を加え、素材そのままの味をワンちゃんに食べてもらいましょう。
では、タンパク質を多く含み、ワンちゃんに与えやすい食品をいくつかご紹介します。
・鶏のササミ、胸肉
・ラム肉
・鹿肉
・ゆで卵
・塩引きでない魚
・カッテージチーズ
・豆腐
・おから
・無調整豆乳
・ヤギミルク
タンパク質は、ワンちゃんの体作りに欠かせない栄養素です。筋肉や骨を健康に保つだけでなく、ワンちゃんの被毛を美しく保つためにも、良質なタンパク質をとるように心掛けましょう。
しかし、タンパク質の過剰摂取には要注意。ワンちゃんが健康でいるためには、バランスのとれた食事が重要であることも忘れないようにしましょう。
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