愛犬が一心不乱にごはんを美味しそうに食べている姿は見ていて微笑ましいですよね。
でも一方で、あまりの早さに「ちゃんと噛んでいるのかな」と不安になることはありませんか?
早食いは嘔吐の原因になりやすいだけでなく、胃捻転という怖い病気を引き起こすリスクも高まるため、早食いを防止するための工夫が必要です。
そこで今回は、ワンちゃんの早食いの性質や、早食い防止のためのアイデアをいくつかご紹介していきます。
オオカミを祖先にもつ犬は、本能から早食いの傾向があるとされています。
野生では群れで暮らし狩りを行っていたため、自分の食料を確保するためには、他者にとられないよう急いで食べる必要がありました。
つまり、早食いは野生の本能のなごりであると言えます。
また、歯の構造からもゆっくり噛んで食べることには適していないと考えられています。
私たち人間の歯は、穀類といった食べ物をすり潰すようにしてよく噛み飲むことに向いていますが、犬の歯は狩った獲物の肉を引きちぎり、骨からこそぎとることに適しているのです。
そのため、ワンちゃんはほとんど噛まず飲みこむようにして食事を摂る子が多く、結果として早食いにつながるのです。
ワンちゃんが自然界で食べていたものは、狩りをして得た新鮮な生肉でした。
生肉は全体の約70%が水分のため、急いで食べても飲みこみやすく消化しやすい特徴があります。
対して、現在のワンちゃんが口にするのはドッグフード。
とくに水分量が少ないドライフードを愛犬に与える場合には、早食いが健康上のリスクになってしまうことが懸念されます。
では、具体的にどういったリスクがあるのか見ていきましょう。
食べたものを消化される前の状態で吐いてしまうことがあります。
勢いよく食べてしまうと余分な空気を含んでしまったり、フードを大きい塊で飲みこんでしまうことにより、食道や胃が刺激され吐き戻してしまいます。
ワンちゃんはもともと吐き戻しをしやすい動物のため、吐出物が未消化の状態であればそこまで大きな問題ではありませが、頻繁に繰り返されると体への負担にもなりかねません。
咀嚼をせずにフードを飲みこんでしまうと消化にかかる時間が増えるため、胃への負担が増加します。
消化不良によって下痢することもあるため、消化能力が十分でないパピーやシニアのワンちゃんはとくに注意が必要です。
喉に詰まってしまうと窒息してしまう危険性があるため、噛まずに飲み込んでしまうワンちゃんには、与える食べ物の大きさにも注意が必要です。
また、急いで食べることで誤って食べ物が気管へ入ってしまい、誤嚥性肺炎を起こす危険性も。
市販のドライフードは愛犬の体の大きさにあったサイズのフードを選び、サツマイモなど詰まりやすい食べ物は小さくカットしてから与えましょう。
胃捻転とは、胃の中にガスがたまりパンパンに膨れ上がった結果、胃が捻じれてしまう病気です。症状が悪化するとショック状態となり意識が混濁してしまうことも。
明確な原因はまだ明らかにされていない病気ですが、早食いにより発症のリスクが高まるとも言われています。
一気に大量の食べ物が胃に入ってくることで、胃の内容物が十二指腸へ移動できなくなり、胃が異常に大きくなる症状です。
嘔吐や消化不良による下痢を引き起こすリスクがあります。
食欲旺盛なワンちゃんに「食事はよく噛んでゆっくり食べましょう」と言っても、分かってもらうのは難しいですよね。
先ほどご紹介したようなリスクを軽減するには、私たち飼い主による工夫が必要です。
食事の量は同じでも、食べることに時間がかかるように様々な工夫をご紹介します。
ワンちゃんの食事の水分量を増やすことは、窒息や消化不良の軽減につながります。
私たち人間でも、スコーンとお粥では飲みこみやすさが全然違いますよね。
水分の多いウェットフードに切り替えてあげると、ワンちゃんもより食べやすくなりますよ。
また、水分量が多くなると必然的に食事量が増え満足感も得やすくなるため、食いしん坊なワンちゃんにオススメです。
ウェットフードだけの食事への切り替えが難しい場合は、いつもの食事にウェットフードを混ぜ込んだり、ドライフードをぬるま湯でふやかすといった方法を試してみてください。
食欲旺盛でごはんへの執着が強いワンちゃんの場合は、食事の回数を増やすことで胃拡張などのリスクを軽減できます。
一度の食事で胃に入る量を減らすことは、消化をスムーズにする手助けにもなりますね。
ただし、1日の食事を小分けにするだけにとどめ、トータルの食事量が増えることのないように注意が必要です。
ワンちゃんはお皿にあるものを急いで食べようとしてしまうため、飼い主さんが少しずつ手の平にのせ時間をかけて食べさせることも早食い防止になります。
また、飼い主さんの手から食事を貰えることで「食事をとられたくない」という執着心を解消することも期待できと言われています。
先述したように犬は群れの中で生活し、誰よりも多くの食事にありつけるように早食いをしてしまいます。
複数のワンちゃんがいる家庭ではその本能が強く出てしまうことがあるため、それぞれ別の部屋で食事を与えるなど、お互いの食事を見せないようにする工夫が効果的です。
食べる時間を長くするため、底に凹凸のある早食い防止用フードボウルなどで食事をさせるのもオススメ。
また、球体のボウルでフラフラと不安定なものも、食事時間を延ばすことができます。
ただし怖がりや神経質なワンちゃんの場合、そういったボウルを嫌がり、食事を避けてしまうことがあるので愛犬の様子を見ながら工夫をしましょう。
ワンちゃんの食欲を制御することは難しく、「仕方がない」と諦めている飼い主さんもいるかもしれません。
ですが、早食いによるリスクを把握し、少しでも軽減できるように取り組みましょう。
早食い防止用のフードボウルなどは、ペットショップなどでも販売されており、手軽に取り入れられるのでぜひお試しください。
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