私たち人間は、疲れた時やリフレッシュしたい時、またバレンタインデーなどさまざまな場面でチョコレートを口にすることがありますよね。
甘くてほろ苦いチョコレートは、世代を問わず人気の高いスイーツです。
しかし、そんな身近なチョコレートが「ワンちゃんにとっては危険な食べ物である」ということは、多くの飼い主さんが知っているでしょう。
でもなぜ、ワンちゃんには有害なのか、食べてしまうとどんな症状が見られるかまでは、あまり触れる機会が少ないかもしれません。
今回はチョコレートがどれだけ危険かを再認識し、今後の誤食防止につなげてもらうため、誤食してしまった場合の症状や、その対処法をご紹介します。
ワンちゃんが誤ってチョコレートを食べてしまうと、中毒症状をおこしたり、最悪の場合は命にかかわることとなります。
主な原因は、チョコレートの原材料であるカカオに含まれる、メチルキサンチン誘導体の『テオブロミン』という物質。
人間であればテオブロミンは約6時間で代謝されますが、ワンちゃんの場合はその3倍にあたる約17.5時間かかるとされています。
このようにワンちゃんの体はテオブロミンを分解、排出する能力が低いため、一度取り込んでしまうと体外に排出しようと嘔吐や下痢をくり返してしまいます。
さらに大量に食べてしまった場合は、神経や心臓へ過剰な作用を起こし、震えや不整脈・痙攣などの症状が出るなど、最悪の場合は死に至ることもあります。
カカオの含有量が多ければ多いほど、テオブロミンの含有量も多いので、ビターチョコレートや高カカオチョコレートはより中毒のリスクが高まります。
また、カフェインなどもメチルキサンチン誘導体の一種のため、コーヒーやココアもワンちゃんにとって危険なので、愛犬が口にしないよう細心の注意が必要です。
ワンちゃんにとってチョコレートが危険な理由を説明しましたが、具体的にどういった症状がでるのか、<軽症の場合> <中程度の場合> <重症の場合>の3段階に分けてご紹介します。
・嘔吐や下痢
・落ち着きがなくなる
・口の中が渇き、水をたくさん飲む
・失禁する
・神経過敏
・興奮状態が続く
・激しい動悸
・痙攣、震え
・不整脈
・失神、昏睡
・高熱
他にも、脂肪分の多いチョコレートを摂取したあとは、急性膵炎(きゅうせいすいえん)を起こす危険性もあります。
どんなに注意していても誤って愛犬がチョコレートを食べてしまった場合を考え、次に紹介する対処法を覚えておきましょう。
チョコレート中毒の症状は、口にしてから6時間~12時間で見られるため、食べた直後の様子に問題ないからと軽視してはいけません。
①食べてしまったチョコレートの種類や量を把握し、時間をメモしておく。
②嘔吐や下痢の中毒症状が出ていないか、愛犬の様子を観察する。
③かかりつけ医に相談し、食べたチョコレートの量が多い場合は様子を見ずに動物病院を受診する。
量の多い少ないに限らず、チョコレートをほんのひと欠片食べただけの場合でも、念のためかかりつけ医に相談するようにしましょう。
しかし、チョコレートを誤食してしまい動物病院で診てもらったとしても、中毒症状を引き起こすテオブロミンの成分自体を分解して体から取り除くことはできません。
とはいえ、食べたものを吐かせる、胃洗浄をする、点滴などの間接的な治療であっても、中毒には有効なのでまずは動物病院へ連絡をしましょう。
愛犬を危険な目に合わせないためには、私たち飼い主が誤食を起こさないよう注意するしかありません。
まずは、チョコレートやコーヒー、ココアなどテオブロミンを含む食品は、愛犬の手の届くところに置かないことを徹底しましょう。
保管は愛犬が自由に出入りできない部屋や、愛犬が開けることのできない戸棚や冷蔵庫をおすすめします。
愛犬と一緒にいる時にチョコレートやコーヒーを口にする際は、絶対に目を離してはいけません。
短時間でも席を立つ場合は、愛犬の手の届かないところに移動させましょう。
今回はチョコレートがワンちゃんに与える影響についてご紹介しました。
また、ネコちゃんもワンちゃん同様、チョコレートを食べると中毒を起こしますので、愛猫も一緒に暮らされているご家庭は更に注意しましょう。
飼い主さん自身がチョコレートを購入しなくても、家族の誰かがお土産などで購入、または周りの人たちからもらい、自宅にチョコレートが置いてあることもあるでしょう。
チョコレートに限らず、人が食べるように加工された食べ物もワンちゃん達には危険になる可能性があるので、普段から誤飲・誤食を未然に防ぐ環境づくりを心がけましょう。
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