健康なワンちゃんの鼻は濡れているものということを聞いたことはありませんか?
ワンちゃんの鼻は濡れているのが普通と思っている人も多いかもしれませんが、じつはワンちゃんの鼻はいつも濡れているとは限りません。
健康なワンちゃんの鼻も乾くことはありますし、病気が原因でワンちゃんの鼻が乾くこともあります。
1日の中でもワンちゃんの鼻の状態は、わりと頻繁に変化しているのです。
今回はワンちゃんの鼻が乾燥する原因や改善方法などについて解説します。
ワンちゃんの嗅覚が人間に比べて非常に優れていることは周知の事実ですよね。
そんなワンちゃんの鼻はどのようなしくみになっているのでしょうか。
ワンちゃんの鼻腔の表面である嗅上皮の中には、嗅細胞という臭いを感知するセンサーがあります。
嗅上皮の表面積は人間では3~4平方cmなのに比べて、ワンちゃんでは18~150平方cmもあり、表面積が大きいということはそれだけ感知センサーである嗅細胞も多く存在するということ。
ワンちゃんの嗅覚が人間に比べていかに優れているかがわかりますね。
また、人間の嗅細胞の配列は一層なのに比べ、ワンちゃんは数層にわたり嗅細胞と支持細胞は常に新しい細胞に生まれ変わっているのです。
そして匂いの分子をキャッチする繊毛の数は、ほかの動物に比べて多いと言われています。
「ヤコブソン器官」とは、陸上に住む四足動物にみらられる嗅覚器の補助器官のことです。
上顎の前歯の裏側に位置し、発情期や出産後の犬から発せられるフェロモンを感知すると言われています。
ヤコブソン器官についてはいまだしっかりと解明がされていませんが、匂い物質とは異なるフェロモンという私たちには嗅ぎ分けられないものまで、ワンちゃんは感知しているのです。
ワンちゃんの鼻にあるシワのことを「鼻紋」と言います。
ワンちゃんの鼻紋は、人間の指紋のように、個体によってそれぞれ違いがあります。
鼻紋は愛犬だけの特別な模様なのです。
アメリカでは生まれてから一生変わらない鼻紋をワンちゃんの個体を特定する個体情報として、個体登録をするケネルクラブもあるそうです。
愛犬が甘えて顔を擦りつけてくれる時など、鼻が濡れているのを感じることは多いですよね。
しかしなぜワンちゃんの鼻は人間と違って濡れているのでしょうか?
ここではワンちゃんの鼻の濡れについて解説します。
ワンちゃんを飼って間もない人なら「愛犬の鼻が濡れているのは鼻水?」「風邪でもひいているの?」と、心配になる人もいるかもしれません。
しかしワンちゃんの鼻は鼻水で濡れているのではないのです。
この水分は、涙と汗のような分泌物が混ざり合ったもの。
まず涙腺から涙が鼻の奥に流れ、外側鼻腺という器官から出る分泌物と混ざり合います。
そしてその水分が鼻の表面の鼻鏡という溝に溜まり、その水分でワンちゃんの鼻は濡れているのです。
ワンちゃんの鼻は、濡れていることによる利点があります。
まず1つ目の利点として、臭いを捉えやすいということです。
鼻鏡に蓄えられた水分が、空気中に漂う臭いの分子を吸着することで、感度が高まります。
人間でたとえると風向きを調べるときに、指を唾液で濡らしてかざすように、乾いた指よりも濡れた指のほうが風の向きを捉えやすいというようなイメージです。
そのほかに鼻が濡れていることで、熱を放射して体温調整をするという利点もあります。
鼻鏡から水分が蒸発するときに発する気化熱を利用して、余分な熱を体から排出して体温を下げることができます。
ワンちゃんの鼻は濡れていることで、役立つことがあることがわかりましたが、ときには鼻が乾いてしまうことも。
鼻が乾くことは心配する必要がない場合と、病気が原因である場合があります。
ワンちゃんの鼻が乾くのは、どのような時なのか見ていきましょう。
眠っている間のワンちゃんは、嗅覚を研ぎ澄ましたり、体温を下げたりする必要があまりないので、分泌物が少なくなり鼻が乾きます。
同様に眠っているときは鼻を舐めることも少ないので、睡眠中や寝起きのワンちゃんの鼻は乾いていることが多いです。
この場合は生理現象で一時的に乾燥しているだけなので、とくに気にする必要はありません。
冬場などの空気が乾燥している時期には、人間の皮膚も乾燥しやすいように、ワンちゃんの鼻も乾きやすくなります。
高齢のワンちゃんは分泌物が少なくなることがあり、鼻が乾いてしまうこともあります。
この場合も、関連する病気がない場合は過度に心配する必要はありません。
ワンちゃんが皮膚病にかかっているときに、病気が原因で皮膚の一部である鼻が乾くことがあります。
皮膚病が原因の場合は、乾燥のほかにもかさぶたや痒み、炎症などの症状が出ることも。
ワンちゃんが熱中症や、消化器疾患などが原因で脱水症状を起こしたときにも、鼻が乾きやすくなります。
重度の脱水の場合、歯肉の乾燥や皮膚の弾力が低下すると言った症状も見られます。
重篤な脱水の疑いがある場合には、すぐに動物病院に相談してください。
花粉やハウスダストなどの特定の物質に反応して、アレルギー症状を起こしたときにも、分泌物が減り鼻が乾くことがあります。
症状を起こすアレルゲンに触れさせないように気をつけましょう。
鼻の乾燥は生理現象による心配のないものから、病気などが原因の場合もあるということが分かりました。
ワンちゃんの鼻の状態は健康のバロメーターでもあります。
睡眠時以外では、鼻が少し湿った状態が望ましいですが、ワンちゃんの鼻の乾燥を改善するにはどのような方法があるのでしょうか?
空気が乾燥する季節やエアコンを使用する際には、乾燥対策として加湿器を利用するのもよいでしょう。
空気の乾燥はワンちゃんの鼻が乾きやすいだけでなく、皮膚病や呼吸器疾患などの原因にもなることがあるので、適度に湿度を保つようにすると対策になります。
老化により分泌物が減り、鼻が乾いてカサカサになった状態が長引くことで、病気でなくても鼻がひび割れたりすることもあります。
このようなときは、ワセリンやワンちゃん用の保湿クリームなどを塗って保湿してあげるのがおすすめです。
ワンちゃんが、自分で鼻を舐めている仕草もよく見かけることがありますが、ワンちゃんにとって鼻はとても大切な器官であり、さまざまな役割があります。
普段から、愛犬が元気なときの鼻の状態を知っておくことで、体調不良の変化に気づいてあげることができるかもしれませんね。
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