ワンちゃんの「マウンティング」をご存知ですか?
ほかのワンちゃんや、クッションなどに乗りかかって、腰を振る行為のことを指します。
男の子のワンちゃんだけがすることというイメージが強いですが、じつは女の子でも見られる行為なのです。
とくに多頭飼育のお家では、愛犬同士でのマウンティングを目にすることがあるかもしれません。
もし愛犬が知らないワンちゃんにマウンティングを行ってしまうと、ケンカの原因になってしまうことも。
そもそも、ワンちゃんは何故マウンティングをするのでしょうか?
今回はその原因や対策についてお伝えします。
ワンちゃんがマウンティングを行う対象はさまざまです。
まずは愛犬がどんな、犬・もの・人に対しマウンティングを行ってしまうのか、整理してみましょう。
一番自然な行為としてのマウンティングは、男の子のワンちゃんが好意を持った女の子のワンちゃんにする繁殖行動としてのマウンティングでしょう。
男の子のワンちゃんが前脚で女の子のワンちゃんの腰や背中を抱え、腰を振る交尾としての行為です。
避妊や去勢をしているワンちゃんでも行うことがありますが、それらの手術を行っていないワンちゃんに比べ、行為の頻度は下がっていくようです。
マウンティングは男の子から女の子に行うだけ、というわけではありません。
時には男の子同士、女の子同士でもマウンティングが見られることがあります。
また、女の子から男の子のワンちゃんへマウンティングを行う場合もあるのです。
飼い主さんに対して、マウンティングをするワンちゃんもいます。
腕に腰をあてたり、大きなワンちゃんなら飼い主さんの腰や足を目がけて行うこともあります。
飼い主さんだけでなく、好意を持つほかの人に行うことも。
どちらかと言えば、ワンちゃんに対して優しい傾向のある女性の方が、男性に比べてワンちゃんにマウンティングされることが多いようです。
ワンちゃんによっては、クッションや布団、おもちゃなどにマウンティングをする子もいます。
この行動は、パピーにも見られることがあります。
さまざまな場面で行われるワンちゃんのマウンティングですが、この行為を行ってしまう時、愛犬の心理はどのような状況なのでしょうか。
根本的な原因やワンちゃんの本能を細かく見ていきましょう。
男の子のワンちゃんが女の子のワンちゃんに行うマウンティングでは、性的な本能が原因の場合が多いです。
男の子のワンちゃんは女の子のワンちゃんの出すフェロモンに発情して、マウンティングを行います。
このフェロモンは、人間が感知することはできませんが、女の子のワンちゃんがヒート中の時、遠くからでも男の子のワンちゃんが気が付くほど強いものなのです。
男の子のワンちゃんだけではなく、女の子のワンちゃんでも発情期の興奮でマウンティングを行うことがあります。
とくに同性同士のワンちゃんに行うマウンティングでは、自分が上の立場にあるという力関係を誇示する理由で、この行為を行うことがあります。
主に年齢が近い場合や、年上のワンちゃんが年下のワンちゃんに自分の方が上だと示す場合に行うことが多いです。
優しいワンちゃんや、おとなしいワンちゃんは特にマウンティングの対象とされてしまうことが多いようです。
飼い主さんに対して行うマウンティングにはいくつかの理由があると考えられます。
まず、ワンちゃんが飼い主さんに遊んでほしい時や、かまってほしい時に愛情表現としてマウンティングを行うことがあります。
子犬は特にこの理由が多い傾向にあります。
次に、主従関係が崩れているという理由です。
飼い主さんが愛犬の要求を聞いてばかりいて甘やかされている場合、ワンちゃんは自分が飼い主さんより上の立場であると思い込みます。
そして、要求・わがままを通そうと、飼い主さんに対しマウンティング行為を行ってしまうのです。
飼い主さんが喜んでいると勘違いしているという理由でマウンティングを行うワンちゃんもいます。
愛犬からマウンティングをされた時、飼い主さんが騒いでしまうと、ワンちゃんは飼い主さんが喜んでいると勘違いしてしまうのです。
そして、また飼い主さんに喜んでもらいたいという気持ちから、愛犬は再度マウンティングを行ってしまいます。
時にはクッションやおもちゃで遊んでいるのが楽しくて、その延長で興奮状態になり、物にマウンティングすることがあります。
逆にすることが無く、近くにあったおもちゃにマウンティングをしたら楽しくなってしまった、ということも。
これらはクセになってしまう恐れがあるので、注意しなくてはなりません。
ワンちゃんが運動不足や何かの原因でストレスを感じている場合、ストレス発散や八つ当たりから身近なものにマウンティング行為をすることがあります。
ワンちゃんのマウンティングをやめさせたいと思う飼い主さんも多いはず。
特に、よその家のワンちゃんなどにマウンティング行為をおこなうことは、ドッグランなどでマナー違反として認識されることが多いです。
自分の愛犬がしてもされても、気まずい思いをすることになるでしょう。
では、愛犬がマウンティングをしないよう、飼い主さんはどのように対処すれば良いのでしょうか?
性的な興奮が理由でマウンティングをする場合は、避妊や去勢をするとおさまる場合があります。
手術後、完全におさまらなくても、その頻度は徐々に落ち着くワンちゃんが多いようです。
手術の効果は、ワンちゃんによって異なるものとなるので、獣医師さんに一度相談してみるのもよいでしょう。
ワンちゃんのマウンティングの対象がほかのワンちゃんの場合、愛犬がその体勢になりかけたら、飼い主さんが速やかに間に入り、マウンティングができない状況にしましょう。
その際、再度すぐに愛犬をフリーにするのではなく、一度その場を退散します。
これらの流れは、マウンティングをすると、ほかのワンちゃんとの触れ合いをやめさせられてしまうということを愛犬に認識させる、という意味合いも含まれています。
おもちゃやクッションなどが対象の場合は、その対象物を愛犬から届かない場所に遠ざけましょう。
特定の物を見るとマウンティングをしたくなるようなクセが付いている場合などに効果的です。
マウンティングの原因であるストレスを解消させてあげると、行為がおさまることがあります。
ストレスの原因の多くは、運動不足や飼い主さんとのコミュニケーション不足です。
散歩の時間を増やしたり、飼い主さんが一緒にあそんだりすることで、愛犬のストレスは大きく軽減されることがほとんど。
トレーニングをして頭を使うのもよいでしょう。
知育玩具を与えたり、匂いを嗅いでおやつを探す「ノーズワーク」というゲームは作業意欲を満たしてストレス発散にも繋がるので、ぜひ取り入れてみてください。
ワンちゃんは飼い主さんとの主従関係に敏感です。
もし自分より飼い主さんが立場が下だとワンちゃんが感じていると、飼い主さんに対してマウンティングで自分の優位性を示すこともあります。
そうなってしまうと、一緒に生活する上でさまざまな問題が生じますので、飼い主さんに主導権があることを繰り返し認識させることが重要です。
リードを引っ張らせない、ワンちゃんの要求に対して反応しすぎないなど、日々の生活において、あくまで飼い主さんがリーダーである事を愛犬に示しましょう。
ワンちゃんのマウンティング行動にはたくさんの意味があるということを確認しました。
しかし、やはり多く知られているのは発情行為としてのマウンティングです。
実際、避妊や去勢をすると、マウンティングがおさまることが多いもの。
しかし、中にはマウンティング行為を防ぐために手術をしたのに、今までと変わらないという子もいます。
この時、愛犬はどのような目的でマウンティングを行っているのか、改めてその原因を見ていきましょう。
手術をするタイミングによって、マウンティングがおさまるか否か変わってしまう場合があります。
去勢手術や避妊手術を行う前から日常的に行為を行っていたワンちゃんの場合、すでに生活の中の一行動としてマウンティングを学習してしまっています。
そうすると、手術後もクセとしてマウンティング行動を繰り返してしまうことがあるのです。
男の子のワンちゃんが「潜伏睾丸」という片方の精巣がきちんと下りてこない症状の場合、去勢手術後に腹腔に睾丸が残ってしまいます。
こういった症状のワンちゃんは、マウンティング行動が軽減されないことが多いです。
マウンティングを性的な意味の行動としてではなく、遊びの一環として行っているワンちゃんも、去勢や避妊手術をしても改善されないことがあります。
手術後でもクッションやおもちゃなどにマウンティングを行う場合は、対象物をしまってしまうなどワンちゃんの目につかないようにしましょう。
鳴いたり吠えたりして対象物に執着する場合は、散歩や遊びなどで気を紛らわせてあげましょう。
あまりに対象物への執着が激しくマウンティングもおさまらないなど心配なら、ドッグトレーナーや行動治療の専門家に相談するのも良いでしょう。
ワンちゃんのマウンティング行動は、犬種によっては腰を痛める原因になることもあります。
嫌がっているほかのワンちゃんにマウンティングすることで、相手を怖がらせたり、喧嘩に発展することも。
ワンちゃんだけの問題だけでなく、飼い主さん同士のトラブルに発展する可能性もあるでしょう。
さまざまなデメリットがあるマウンティング行動は、できたらやめさせたいと思う飼い主さんは多いはずです。
愛犬がどうしてマウンティングを行ってしまうのか、様子や心理状態をよく観察して原因を取り除いたり、対処することが重要ですね。
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