犬は、人間とともに生活を送りはじめた最も古い動物とも言われ、現在でも家族の一員として、または仕事仲間として、人間にとってかけがえのない存在となっています。
そんな犬の祖先といわれるオオカミは、狩りをして獲物を捕らえる肉食獣。そのため、「犬は肉食である」という話を耳にすることも多いですよね。
ですが現在の犬の主食といえば、小麦や穀類が混ざった「ドッグフード」。はたして犬は肉食か雑食、どちらなのでしょうか?
犬の歯の特徴といえば、肉を切り裂くための特殊な構造をしている巨大な奥歯「裂肉歯(れつにくし)」です。
犬の祖先といわれるオオカミをはじめとした肉食動物にも同じものがあり、この歯がなくなると野生の肉食動物たちは生きていくことができません。
オオカミの頭蓋骨。基本的な構造は犬とさほど変わらない。
犬種によって多少の差があるものの、基本的に犬は、切歯・犬歯・臼歯すべてあわせて42本の歯を持っています。どの歯も尖った構造で、肉を裂くことは得意でも、穀類や植物をすり潰すのは苦手です。
ドッグフードが主食である現代の犬の歯も、肉食のための特徴を色濃く残しているのです。
さて、歯の次は犬の消化器官について考えてみましょう。
草食と肉食、さらには雑食の動物たちの消化器官を比較してみると、「腸の長さ」に大きな違いがあるのはご存知でしょうか?
腸は、口や胃で分解した栄養を消化・吸収するため器官です。
植物を消化吸収するのには、時間がかかるため、腸の長さは草食・雑食動物のほうが肉食の動物より長くなっています。
体長を基準に腸の長さを比較した表。犬の腸の長さは肉食動物に寄っている。
犬もほかの肉食動物と同様に、草食動物と比べると腸は短いですが、オオカミの腸が体長の約4倍であるのに対し、犬は5~7倍と少し長い傾向にあります。
犬と人間の共生は2万年の歴史があるともいわれており、人間から与えられた穀物などを食べる機会も多かったので、現代の犬の腸はオオカミより少し長くなっているのです。
食生活の変化があったとはいえ、人間の腸の長さは体長※の12倍!
オオカミに比べて雑食性の特徴はみられるものの、人間と同じレベルの雑食性を有するまでには至っていません。
※ほかの動物と同様に、四つん這いになった姿勢の口から肛門までの長さをもとに試算。
消化器官についていえば、「雑食性のある肉食」という言い方が一番しっくりきますね。
さて、ここまで犬の食性を考えてきましたが、犬の食事には何をあげるのが一番良いのでしょうか?
「歯」や「腸の長さ」の特徴からも見て取れるように、オオカミに比べて雑食傾向が高いとはいえ、犬の体はまだまだ肉食寄りと言えます。
やはり、お肉等の動物性タンパク質を中心としたドッグフードが、犬にとってベストの食事といえます。
穀類などの炭水化物をエネルギー源として活用することも可能ですが、犬は炭水化物を分解する消化酵素(アミラーゼ)を口内に持っていません。そのため、犬の体は短い腸内でタンパク質を分解・吸収しようとするため、栄養の吸収率も悪く、体にも負担をかけることになってしまうのです。
また、犬も人間と同様、小麦などのグルテンにアレルギー反応を示す場合があります。
現在、ドッグフードの主流になっている「ドライフード」は小麦が多く含まれている場合があるので、ぜひ一度、自分の愛犬の食べているフードの原材料を確認してみましょう。
なにか皮膚などに異常がある場合は、こういったアレルギー原因物質を避けることで、症状が改善することもあります。
前述したように、犬にはある程度の雑食性もあるので、もちろんすべての穀類を避ける必要はありません。
お互いがより快適に過ごせるように、愛犬の好みや体質にあわせて、一番美味しく健康に食べられるフードを探してあげましょう。
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