オオカミが犬の祖先であるという説は広く知られていますが、犬とオオカミの相違点について興味を持つ方も多いでしょう。
外見が似ている犬種も存在しますが、実際にはどのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、犬とオオカミの相違点や遺伝的特徴と、オオカミに最も近いとされる犬種であるウルフドッグについて解説します。
多くの研究者が、犬の祖先がオオカミに由来する可能性を高く評価しています。
最新の研究では、2万~4万年前の東アジアに生息していたハイイロオオカミの日本固有亜種「ニホンオオカミ」(絶滅種)が、オオカミの中で犬に最も近い種である可能性が高いことが推定されました。
オオカミは野生動物であるため、狩猟本能や警戒心が強く、自然界での生存に適応しています。
歩行姿勢は頭部を低く保ち、地面と頭部がほぼ平行になるような姿勢をとります。
また、歯は犬よりも大きく、牙や顎の筋肉も発達しており、特徴的な「釣り目」を持っています。
一方、犬は人間との共同生活や交配による品種改良を経て、従順さや社会性、可愛らしさなどが強調されたため、オオカミと犬には体格や歯、足や肉球などの違い、そして習性の相違ができました。
犬は様々な遺伝的特徴を持っており、それが犬種ごとの個性や外見の違いに現れます。
2012年にNational Geographic(ナショナルジオグラフィック)誌に掲載された記事よると、285品種に及ぶ純血種の犬のDNA分析結果として、犬の系統は大まかな4つのカテゴリーに分類されました。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
4つのカテゴリーの中で一番オオカミに近い遺伝子を受け継いでいるグループ。
ウルフライクはアメリカだけではなく、アジアやアフリカ、中東に起源があり、最も古い種であると推定されています。
ハーダーとは牧畜民のことで、群れをなす習性のあるシェットランド・シープドッグやボーダー・コリーなど牧羊犬タイプのグループ。
中にはパグやグレイハウンドのように群れる習性のない犬種もいますが、これらの種が群れをなす種の交配に用いられたことを示唆しています。
獲物に向かって瞬時に動く猟犬的特性を持つ犬種が多いグループ。
ハンターという名前の通り、ビーグルやポインターなどの獲物をとらえるような猟りの特性を持っている猟犬の大部分が分類されます。
筋肉質で力が強く、屈強な体と戦闘的な性質をもつグループ。
警察犬や軍用犬として活躍しているジャーマン・シェパードやドーベルマンなどのほか、マスティフ種派生のボクサーやブルテリアといった犬種が多くいます。
オオカミに最も近い犬種としてはウルフドッグ (オオカミ犬)という、大型犬とオオカミの交配によって生まれた犬種があります。
ジャーマン・シェパード・ドッグとオオカミの血を引く「チェコスロバキアン・ウルフドッグ」「サーロス・ウルフホンド」の2種は、FCI(国際畜犬連盟)にウルフドッグの純血種として認めてられています。
しかし、現在の動物愛護管理法では、オオカミと犬の交雑種(F1/異品種間で交配して産まれた第1世代)は特定動物として指定されているため、愛玩目的での飼育はできませんが、オオカミと犬の交雑種同士から生まれた第2世代(F2)以降であれば飼育は可能です。
しかし都道府県の条例によっては、所定の飼育方法や標識の掲示が求められる「特定犬」に指定されている場合もあるため、お迎えを検討するのであれば事前に確認することをお忘れなく。
一方でウルフドッグ以外でも、オオカミに近い原種グループである「ウルフライクな犬種」は家族として迎えることができます。
代表的なオオカミに近い原種グループ、ウルフライクな犬種を紹介します。
ただし、秋田犬も特定犬に指定されるため飼育には十分に注意が必要です。
柴犬
チャウチャウ
秋田犬
アラスカン・マラミュート
バセンジー
シャー・ペイ
シベリアン・ハスキー
アフガン・ハウンド
サルーキ
サモエド
チベタン・テリア
ラサ・アプソ
シー・ズー
ペキニーズ
ウルフライクな犬種は、アジアや中東、アフリカ生まれが多いのが特徴です。
今回は、知れば知るほど面白いオオカミと犬の遺伝的特徴や、オオカミに近いと推定される犬種などを紹介しました。
ウルフライフ、ハーダー、ハンター、マスティフライクと4つの遺伝的特徴がありますが、1つの特徴のみならず複数の遺伝的特徴の組み合わせによって犬種が分類されます。
愛犬がオオカミに近い犬種なのか、それとも他のグループに近い特徴を持ち合わせている犬種なのか、調べてみるのも面白いですね。
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