災害救助犬ってどんなことをしているの? ~日本レスキュー協会の活動~

災害救助犬ってどんなことをしているの? ~日本レスキュー協会の活動~

2018年7月、西日本を中心に広い範囲で発生した集中豪雨は、広島県・岡山県・愛媛県に特に甚大な被害をもたらしました。
河川の氾濫や土石流により、家屋の浸水や倒壊が発生。
一時は安否不明者数が80人近くにものぼり、大規模災害として皆さんの記憶にも新しいかと思います。
ブッチが継続的に支援をさせていただいている日本レスキュー協会さまからも災害救助犬2頭が出動し、他団体との合同チームで捜索にあたりました。

 

現場は、土砂に埋まった車、ガラスや瓦礫、衣服や家具が散乱しており、行方不明者の捜索が非常に困難な状況。

そんな中、災害救助犬がかすかな匂いに反応を示した場所から、ご遺体が発見されました。

平成30年7月豪雨での災害救助犬の活動は、各メディアでも取り上げられ、初めてその存在を知った方もいらっしゃるかもしれません。

ひとりでも多くの方に災害救助犬のことを知っていただき、日本での周知・理解が進むお手伝いが出来れば・・・という思いで、コラムを書かせていただきました。
有事の際に私たちのために出動してくれる災害救助犬。
日本での活動がもっと広がり、周知されることを願っています。

災害救助犬とは?

災害救助犬とは、地震や土砂崩れといった自然災害が発生した際に、行方不明者を捜索するために特別な訓練を重ねた犬のことを指します。

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▲日本レスキュー協会さまには、災害の現場を想定したつくりの訓練所も
日本レスキュー協会さまには、災害現場を想定し、足元の不安定な高所や瓦礫の散乱した特別な施設が設けられています。
こういった施設を使い、短期集中型の犬の特性に合わせ、短時間の訓練を日課としているそうです。

訓練、というと厳しいイメージを持ってしまいがちですが、じつは災害救助犬にとって訓練は「楽しいこと」なのです。

瓦礫の上を器用に走りながら、とっても楽しそうに訓練している様子が伝わってきますね。
隠れている人を見つけたら大好きなおもちゃで遊んでもらい、たくさん褒めてもらっています。

実は、訓練のご褒美は食べ物ではなく『人を捜す=遊んでもらえる』こと。
人が大好きな犬にとって、人に遊んでもらえることが大きなモチベーションになっているのです。

そうすることで、食べ物も散乱してしまう災害現場でも、集中して捜索活動ができるんですね。
災害救助犬は、地震や土砂災害が起きた際の活動だけではなく、実はこのほかにも、溺れている人を救助する水難捜索、雪崩や雪山での雪難捜索、そしてヘリコプターから降下し、人が入れない場所で捜索を行うホイストといった様々な訓練をおこなっています。

いつ起こるかわからない災害のために、日々訓練をこなしている災害救助犬がいるなんて、頼もしいですね!

有事の際の活動

日本レスキュー協会さまでは、災害が発生するとまず、行方不明者がいるか・災害救助犬の派遣要請があるか、といった情報収集をおこないます。
『72時間の壁』と言われるように、生存者の発見のためには出来る限り早くが鉄則。
しかし、予測の難しい自然災害だからこそ、二次被害や不要な出動を避けるために、正確な情報収集が重要なのです。

派遣要請を受けて現地に入ると、警察や消防、自衛隊からなる対策本部と連携をとり、捜索活動をおこないます。


現地では、他団体の災害救助犬、ハンドラーと呼ばれる指導手とチームを組み、安全を確認しながら行方不明者の捜索をおこないます。

捜索の手がかりは空気中に漂う「浮遊臭」とよばれる人間の匂い。
警察犬は特定の人間の匂いを追いかけるよう訓練されていますが、災害救助犬の場合は、不特定の行方不明者を捜すため、匂いを手掛かりに、声を出すことができない状態の人も捜索することが可能です。
災害救助犬が浮遊臭を察知すると、吠えてハンドラーに伝えます。
反応のあった場所を複数の災害救助犬で確認し、複数の反応が見られれば要救助者がいるとして、救助隊による捜索へとバトンタッチします。

必要不可欠な災害救助犬の存在

災害の現場での人命救助や行方不明者の捜索は、非常に多くの困難を伴います。

遠隔操作で捜索できるレスキューロボットの研究が進んでいますが、実用化はまだ少し先の未来かもしれません。

そんななか、優れた嗅覚と、しなやかな身躰をもつ犬だからこそできる災害救助犬の存在が、重要視されるようになってきました。

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しかし、災害救助犬には法的な枠組みや国からの援助はなく、NPO団体さまがそれぞれの寄付金でまかなっているのが現状です。

だからこそ、多くの人が災害救助犬の活動について知ることが、今後の活動の拡大につながります。
私たちにできる第一歩として、ぜひ、ご家族やご友人にこの活動についてお話ししてみてください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

日本レスキュー協会さま監修の「災害時のペットの備え」についての記事もアップしていますので、ぜひこちらもお読みください!

 

ブッチ・ジャパンは今後も日本レスキュー協会さまへの支援活動を続けてまいります!

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